2027年に北海道で開かれる「和牛のオリンピック」へ向けて、鹿児島県内の腕利き肥育農家たちが動き出した。4月30日、霧島市の姶良中央家畜市場で全国和牛能力共進会への出品を見据えた子牛の斡旋会が開催され、精鋭18軒の肥育農家が県内選りすぐりの子牛72頭の中から未来の「日本一」を見極めた。
2連覇の鹿児島が再び挑む、和牛の頂点
「和牛のオリンピック」とも呼ばれる全国和牛能力共進会は、日本最高峰の和牛の祭典だ。牛の体格の良さや改良の成果を競う種牛部門と、枝肉の肉質や量を競う枝肉部門の大きく二つに分かれ、全国の生産者が技術と情熱を結集して臨む。

鹿児島県はこの大会で、前回・前々回と2回連続の日本一に輝いた実績を持つ。その誇りを胸に、次なる北海道大会(2027年8月)へ向けた準備が、いよいよ本格的に動き出した。
「皮膚にゆとりがあること」 目利きたちの眼力
4月30日に姶良中央家畜市場に集まったのは、各農協などから推薦を受けた腕利きの肥育農家18軒。枝肉部門への出品を見据えて選び抜かれた生後5カ月から8カ月の子牛72頭を前に、農家たちは一頭一頭をじっくりと見極めた。
子牛を選ぶポイントについて、参加した農家からはこんな声が聞かれた。
「皮膚が柔らかいこと。牛の特徴をそろえていること」
「血統ごとの特徴が出ているか、(体が)大きくなる要素の一つとして皮膚にゆとりがあること」

皮膚の柔らかさや血統の特徴——素人目には同じように見える子牛の中から、熟練の農家たちは将来の可能性を読み取る。その眼力こそが、鹿児島の強さを支えてきた。
抽選で笑顔も 72頭から選ばれるのはわずか8頭
入札では、同一の牛に同じ価格が提示された場合は抽選となる場面もあり、見事落札した農家が顔をほころばせる光景も見られた。

今回集まった候補牛72頭のうち、県代表として北海道大会に出品されるのはわずか8頭だ。その狭き門をくぐり抜けた牛たちは、これから2027年8月の本番に向けて、各農家のもとでじっくりと育てられることになる。
全国和牛能力共進会県推進協議会の草野昭徳推進委員長は「肥育農家には思いに近い牛を斡旋できたのではと胸をなでおろしている」と安堵の表情を見せた。
落札した農家からは「選んだのは自分たちなので結果を残せたら」という力強い言葉も聞かれた。責任と覚悟を胸に、鹿児島の挑戦はここから始まる。

地域が一丸となって育てる「日本一」への道
今回の斡旋会は、単なる取引の場ではない。県推進協議会、各農協、そして選び抜かれた肥育農家が一体となって、鹿児島の「3連覇」という夢を現実のものとするための、大きな第一歩だ。
72頭の候補の中から選ばれた8頭は、これから丹念に育て上げられる。2027年8月、北海道の地で鹿児島の名を再び轟かせることができるか——長い戦いが、今始まった。
【動画で見る▶和牛のオリンピック北海道大会へ 2連覇中の鹿児島が精鋭18軒の肥育農家で挑む子牛選び】
