「あれは凄い世界だなと思ったんです。“分かる、分かる…”っていう世界をちょっとだけデフォルメしているのが本当に凄い。微妙にリアリティー入っているのがぐ~っと入っちゃう」(植野さん)

「そこは(作画担当の)泉さんの画にかかっている。画の力ってすごいのはリアリティーを出せる。(『孤独のグルメ』作画担当の)谷口さんだって、凄いきれいな画で書いてくれてるけど、書き込み過ぎだろって気もする、あれが面白いんだよ」(久住さん)

下町らしい、いなせな夫婦の海鮮居酒屋

2店目は台東区・浅草。浅草駅から徒歩10分、1986年開店で、海鮮料理が自慢の居酒屋「魚処 もがみや」。

カウンターとテーブル合わせて16席。壁には歌舞伎のポスターがズラリと並んでいるように、十八代・中村勘三郎さんが生前ひいきにしていた店で、今も中村屋のみなさんが足繁く通っているという。

営むのは、寿司職人出身で浅草生まれの店主・小田徳二さんと女将の綾さん。下町らしい「いなせ」な夫婦だ。

旬の素材を使い、その美味しさを極限まで引き出したメニューの数々は、訪れるたびに新しい発見がある。この店でも以前、「あじのガリ巻き」を学んだ植野さん。2人の温かい人柄と、確かな腕が光る絶品料理に惹かれ、夜な夜な常連客が集う。

約100種類あるメニューの中から植野さんが選んだのが、「こはだのガリ巻き」。「こはだの、歯が心地よくなるような食感がもう…」と絶賛する植野さん。2品目は「春キャベツと桜エビの炒め」。一口食べた久住さんは「そういうことか、春雨が美味い」と納得し、植野さんも「桜えびの香ばしさと甘みが春雨に移っている」と感動していた。