発足から半年を迎えた高市内閣。最新の世論調査では70%を超える高い支持率を維持していますが、その足元では「自民党の地方選敗北」という一見不可解な現象が起きています。その理由を深掘りしました。
支持率は依然として7割 経済・安保もおおむね好意的評価
FNNが実施した最新の世論調査によると高市内閣の支持率は70.2%と、3月から3.1ポイント上昇し再び7割台に乗せました。

具体的な政策をめぐっても、経済政策や物価高対策について「評価する」(どちらかといえば含む)が68.3%、外交や安全保障政策を「評価する」(どちらかといえば含む)が66.6%といずれも6割を超えていて、国民が高市政権の舵取りを概ね好意的に受け止めていることが浮き彫りになりました。

「突破力」の裏にある「孤立」
高市内閣発足から半年間のこの評価について、番組コメンテーターの坂本信博氏(西日本新聞編集局上級専門委員)は「(2月の衆院選で)自民党圧勝という数の力を背景に、決められない政治から脱却してスピード感のある対応や突破力を見せている」と分析します。
一方で、高市総理の政治スタイルには「危うさを感じる」とも指摘します。
坂本氏によると、霞が関の官僚からは首相官邸5階の執務室にこもりがちな総理の姿を危惧する声が漏れているといい「気軽に立ち入れる側近はごく数人。官邸幹部からも『首相の孤立化をどう防ぐか』が課題だという声が上がっている」(坂本氏)。
師と仰いだ安倍晋三元総理と比較しても、党内には本当に心を許せる同志や「命を投げ出してもいい」と思えるほどの仲間が少ないと言われる高市総理。
中東情勢の混乱による原油問題や武器輸出解禁といった国の根幹に関わる決断が、高市総理の強い考えとごく少数の側近だけで下されている現状に、坂本氏は「それが本当の意味での保守政治家と言えるのか」と疑問を呈しました。

地方で相次ぐ自民推薦候補の敗北
そんな国政での高い支持率とは対照的に、地方の首長選挙では自民党が推薦する候補の苦戦が続いています。

県内でも4月19日に投開票が行われた2つの市長選で現職が敗れました。
保守地盤とされる朝倉市の市長選では3選を目指した自民推薦の現職が新人に敗れ、麻生太郎副総裁のおひざ元である嘉麻市でも自民と公明の推薦を受けて4選をかけて挑んだ現職が女性の新人候補に一騎打ちで敗れるという結果になりました。

県内の自民党関係者からは「高市総理の持つ『変革・改革』のイメージが強すぎて、地方の現職には厳しい風が吹いたのかもしれない」という指摘もあり、「来年の統一地方選に向けてしっかり引き締めていかないといけない」という声が聞かれました。

「高市人気」は「自民党支持」ではない
「高市人気」が地方選挙での勝利につながらない理由について坂本氏は「地方の選挙はそれぞれ地域の課題もあるので一概に国政選挙とは比べられない」としながらも、有権者の投票行動の変化を指摘します。
「高い支持率はあくまで『高市人気』であって、イコール『自民党支持』ではないことが改めてはっきりしたと言えます。衆院選でも有権者は『右か左か』ではなく『新しいか古いか』というのが無党派層の投票行動につながったという分析があります。高市首相を押し上げた『改革の風』が地方では逆に『古い自民党への逆風』として作用していると言えます」(坂本氏)。

高市人気に頼らざるを得ない自民党議員が増えることで、総理の判断に異論を唱えたり、自民党のいい伝統である党内の自由で活発な議論が失われたりというリスクもあると坂本氏は指摘します。
「高市人気」という追い風の中で来年春に控える統一地方選挙は、自民党とって大きな関門となりそうです。
(2026年4月18日放送「福岡NEWSファイルCUBE」の内容を再構成しました)

