上司を大声で責め立てたるなどのパワハラを繰り返したとして、大阪府吹田市は市民室主査の職員(47)を減給(10分の1・3カ月間)の懲戒処分にした。

吹田市によると、2024年9月頃から、異動後半年ほどの直属の上司に対し、この職員は業務遂行に必要な知識や経験について、自分の方が多くあることを背景に、職場内の電話対応が困難になるほどの大声で上司を詰問するなどパワー・ハラスメントにあたる不適切な言動を日常的に繰り返したという。

いわば“逆パワハラ”とも言えるこの行為。

「日本ハラスメント協会」の村嵜要代表理事によると『部下から上司、後輩から先輩へのハラスメント』は決して珍しいことではないという。
詳しく聞いた。

■逆パワハラは“知らない”ことが一番の問題

【日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事】
パワハラというと、「上司から部下」「先輩から後輩」の構図を思い浮かべる方が殆どだと思います。

実際に、パワハラの多くは「上から下」へのハラスメントです。

しかし、反対のケースも決して少なくありません。

一番の問題は「“下から上”もパワハラになる」と知らない人が多いこと。

組織でハラスメント問題に関わる人事や総務の人でも知らない場合があるほどです。

ハラスメントだと思わないから行動がどんどんエスカレートする。

周囲も知らなければ指摘や通報など動きようがない。

そして当事者の上司も立場上のプライドなどもあって相談を躊躇し、抱え込んでしまったりするのです。

時々、「下の立場の人には優しく接するけど、上の人には少々きつくあたっても大丈夫」と思い込んでいる人がいます。

しかし、上司も同じ人間です。相手の立場がどうであれ、何を言っても良いわけではありません。

■「優越的」という言葉の難しさ

「パワハラ防止法」におけるパワー・ハラスメントの定義は、下記の3つを満たすものとされています。

1優越的な関係を背景とした
2業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
3就業環境を害すること

この『優越的』という言葉には「役職や年次の上下関係」のほかに「専門知識や経験」も含まれます。

業務を進める上で不可欠な知識や経験を持つ人物がいた場合、その人は職位を問わず、周囲に対し“優越的な立場”になると言えるのです。

また、部下が結託して集団となった場合に上司の方が弱い立場になることもあるでしょう。集団対個人の関係も“優越的な関係”に当てはまります。

ほかにも様々な『優越的』立場があります。

逆パワハラは、極端な話、新入社員でも起こり得ます。

特別なスキルや知識を身に着けて採用された新人が、新たに着任したことなどにより、知識が豊富でない上司に対してハラスメントに当たる行為をすれば“加害者”になり得るのです。

■「正論だから言ってもいい」ではない

今の時代は「上司側がパワハラに気を付けなければいけない」といった風潮が強いですが、立場に関わらずハラスメントは起こります。

「正論だから、自分は間違ってないから」と、自分が上司に対してパワハラをしていることにまったく気づいていないケースも多いと思います。

しかし、正しいからと何を言ってもよいわけではありません。

役職や年齢に関わらず、「立場が下の自分には関係ない」ではなく、自分が加害者にならないために、すべての人にハラスメントについて正しい理解をして頂きたいと思います。

■加害者にならないための“三カ条”

パワハラの加害者にならないために、まずは3つのことを意識して頂ければと思います。

1.選択肢を提示する
2.言い方に気を付ける
3.余計なことを言わない

職場における「強制(強要)」は、相手に精神的苦痛を与えハラスメントに発展する可能性があります。選択肢を提示することで強制ではなくなり、その人に選んでもらえます。

また、声の大きさや口調、口癖などは、当然ながら印象を大きく左右します。職場ではできるだけ冷静な態度を意識して頂ければと思います。

そして、業務とは直接関係のない、相手の能力や人格を否定するような発言、例えば「同期の●●さんはこうなのに…」といった他人と比較して能力を否定するような発言は絶対にしないでください。

相手が嫌な気持ちになることを避けるためには「余計な事は言わない」ことが重要です。

■相手をお客様だと思ってみる

口調や口癖を変えるのは、そう簡単ではないかもしれません。

余計なことを言わない方がいいと分かっていても、つい一言出てしまうこともあるでしょう。

自分の言動をなかなか変えられない場合は、例えばですが「相手をお客さんだと思って接してみる」のはどうでしょうか。

皆さん、お客様には丁寧な言葉遣いや態度で接するでしょうし、失言や言いすぎもある程度は防げると思います。

上司や部下をお客さんと見立てるのは慣れないことでしょうが、「良好な関係を望んでいる」ことが相手に伝われば、お互いに良いコミュニケーションが取れるようになり、仕事にもプラスの影響を与えると思います。
(日本ハラスメント協会 村嵜要代表理事)

関西テレビ
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