アメリカのトランプ大統領が参加した夕食会で起きた発砲事件で、容疑者の男が、政権の「最高位から順に標的」にすると記した犯行声明を家族に送っていたことがわかりました。

複数のアメリカメディアは関係者の話として、逮捕されたカリフォルニア州の非常勤講師、コール・トーマス・アレン容疑者(31)が、犯行の10分前、家族に事件を予告する文書を送付していたと報じました。

文書には、政権幹部の「最高位から順に標的」にすると記していたほか、「この政権が行ってきたことすべてを考えると、怒りが湧いてくる」などとトランプ政権への憎悪が書かれていたということです。

一方、トランプ大統領はCBSテレビのインタビューに対し、アレン容疑者が犯行を予告する文書の中でエプスタイン事件への関与や政権への批判のほか、警備の甘さを指摘したことについて否定し、アレン容疑者を「かなりイカれた男だ」と一蹴しました。

国内外の記者約2600人が参加する夕食会での発砲事件。
ここからは、「夕食会場での発砲 警備に問題はなかったのか」「トランプ政権への暴力 なぜ相次いでいるのか」の2つのポイントについて、フジテレビ国際取材部・ワシントン支局の千田淳一支局長に聞いていきます。

──1つ目のポイント、夕食会はホテルで開催されたが警備態勢に問題はなかったのか?

まず今回の夕食会は、トランプ大統領をはじめバンス副大統領など、大統領の継承順位に並ぶ閣僚らが出席していました。
通常は大統領就任式や議会での一般教書演説をはじめとして、多くの政府高官が1カ所に集まる場合は「国家特別警備イベント」というものに指定され、シークレットサービスに全ての警備を統括させる大変厳しい警備態勢が敷かれています。
しかし今回のイベントは、ほぼ全ての閣僚が集まるにもかかわらず、その指定が行われていませんでした。
私も3年前のバイデン政権時代にこのイベントに参加したことがありますが、容疑者が拘束された場所を映像で見てみると、会場の入り口まで20~30メートルの距離まで迫っていたということがうかがえました。
そこから見えてくるのは、やはり定期的に同じ会場で行われる同じイベントだからこそ、警備も前例を踏襲して行われていた可能性があると。
そこに大きな落とし穴があったということがうかがえると思います。

──今回の事件、アメリカメディアではどのように報道されている?

複数のアメリカメディアは、容疑者の犯行予告とされる文書を取り上げていて、その犯行声明が明らかになってきています。
そこには、ホテルに前泊した容疑者が当日を含めて下見をしたと思われる内容が書かれていて、「イベント会場の警備は全て外に敷かれていて、抗議者や当日の参加者に集中していて宿泊者を警戒することは誰も考えていないようだ」と警備の甘さを指摘していたことも明らかになってきています。
さらに、これは正確には分からないのですが、トランプ大統領が投稿した映像をよく見てみると、容疑者は上下黒のスーツを着ているようにも見えます。
私も参加したことがあるので分かりますが、会場でスーツを着て蝶ネクタイをしていれば、イベントの参加者やホテルのスタッフに紛れ込めたりすることもできます。
このため2日にわたる下見をしたうえで、警備の隙を突いた可能性も考えられるかと思います。

──2つ目のポイント、ここ数年トランプ政権を狙った暴力事件が相次いでいるが、なぜ増えている?

アメリカの専門家は、3年間で3度目の暗殺未遂となったことを挙げ、トランプ大統領の扇動的な言動が社会の分断を助長しているのではないかと指摘しています。
その一因としては、トランプ大統領のSNSを通じた人種差別ともとれるような動画や発言の投稿、さらには野党となる民主党の批判を挙げています。
さらに、SNSの一般的な普及によるデマの拡散が政治的暴力をあおる傾向があるとも指摘しています。
特にトランプ政権の場合は、矢継ぎ早に出す大統領令をはじめとして、これまでの大統領よりも権限が集中しているともいわれています。
2026年は11月に中間選挙を控えていて、これからより一層与野党の対立が激しくなります。
政治的分断が加速する懸念が高まってくると感じています。

フジテレビ
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