能登半島地震から3年目の春。能登の復旧、復興、そして人々の暮らしはどうなっているのだろうか。ドローン映像で能登の今を見つめた。

響く槌音「春来たなって」

ドローンがまず向かったのは七尾市中心部だ。石川県内有数の桜の名所、小丸山城址公園。約260本のサクラは満開を過ぎていたが、この時期に響く槌音が市民の心を弾ませる。青柏祭のでか山の組み立てが始まっていた。震災前と変わらない風景。サクラと共に春を届ける。

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魚町でか山若衆頭の高瀬亮輔さんは「僕の家の近くもまだ、公費解体をまだしてる所があるんですけど、でか山の組み立ては四季みたいなもので、春はサクラ、夏は海みたいな。春はでか山っていうのが、この地域の人たちの風物詩。春来たなって感じてほしい」と話す。この槌音が、七尾の復興への足音だ。

「普通のサクラを見ているなって」

ドローンは北へ向かう。内浦の海岸線沿いに満開の桜並木が現れた。サクラは山あいの里も美しく彩る。能登の花の寺として知られる平等寺。震災で裏山が崩れ、建物とともに約130種類4000株あったアジサイも被害を受けた。

内浦の桜並木
内浦の桜並木

それでも2025年の暮れに本堂と庫裏を再建し、参拝客を迎えられるようになった。能登には、住民たちが様々な願いを込めて植えたサクラがある。珠洲市から訪れた女性は「暖かくなって、ワクワクする季節ですね」と話した。

災害廃棄物の仮置き場だった場所も

珠洲市宝立町。地元の中学校の卒業生が植えた300本余りのサクラ。地震と津波の被害を受けながらも、被災した年も変わらず見事な花をつけた。毎年変わらず咲くサクラが、避難生活を送る人々と故郷をつなぐ。地元の人は「避難先ではやっぱり一人一人でみんないるから。会話がないですね。地震後、特にないです。うちのお父さんと喋っていたらケンカばっかりやし。他人の方がいいです、ははは」と話した。

多田区長はサクラを前に「震災後1年目に見た時のサクラと全然違う。普通のサクラを見ているなって感じ。でもまだまだ日常には程遠いけど、これを見てやっぱり笑顔が出てくるっていうことは、頑張ろうって気になるんじゃないかな」と話した。サクラの前に広がるのは、災害廃棄物の仮置き場だった場所だ。

災害廃棄物の仮置き場だった場所
災害廃棄物の仮置き場だった場所

36か所あった仮置き場は3か所へ。一刻も早い復旧・復興に向け公費解体が進み、県内の仮置き場も次々と役目を終えて閉鎖されている。

廃業した仲間の思いも背負って漁へ

ドローンは輪島港へと向かう。港の一角で漁師たちが網の準備をしていた。中型巻き網船団の漁師たちだ。隆起した港と海の高低差を解消する物揚場が3月に完成し、大量の魚を水揚げする巻き網漁が可能となった。高砂丸水産の萬正昭彦社長は「本当に嬉しいわ。皆やる気満々でなんとか動いてくれんかって。うちも頑張らなダメやと思って」と意気込む。

この2年で輪島港の中型巻き網船団は2つが廃業し、残ったのはこの船団だけだ。廃業した仲間の漁師たちの思いも背負い、まもなく震災後初めての漁に出る。「輪島港の復興も商売しながら、復興を見な、全然価値が無いし。何とか頑張って、代表してできたらいいなと思ってる」歩みは小さくても、着実に前に進んでいる。そう感じる地震から3年目の春だ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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