2018年に180件あった奥能登の分娩数が、今はゼロだ。産科医の退職 に加え、能登半島地震で、この地域では事実上、子どもを産む場所がなくなってしまった。石川県はその現状を踏まえ、能登空港周辺に奥能登2市2町の公立病院4つを束ねる統合新病院を整備する方針を進めている。ところが、この日の検討会で県が示した案は、地元に大きな波紋を呼んだ。

県が示した「新病院では出産できない」案

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県が提示したのは、新病院に『分娩機能を持たせない』という案だった。
出産は七尾か金沢の病院で行い、新病院は産後ケアや小児医療などに特化する——というものだ。安全な分娩を支える十分な医療従事者の確保が難しいことを、県はその理由として挙げた。

出生数と分娩数のグラフが示す数字は確かに厳しい。2018年に180あった分娩数は産科医の退職とともに右肩下がりを続け、能登半島地震を機にゼロへと落ちた。

「なんでも工夫すればできる」――市長・町長の怒り

これに対し、出席した市長・町長が反発した。
穴水町の吉村町長は「分娩のできないエリアに我々はしてほしくない」と声を上げた。
珠洲市の泉谷市長はさらに踏み込んだ。
「なんでも工夫すれば出産はできると思う。そうじゃないと、新病院をこれまで要望し続けてきた意味がない。」
そして、こう言い切った。
「若い人は奥能登に住むなと言っているのに等しい」
子どもを産む場所がない地域に、若い世代は定住しない。深刻な人口減少が続く奥能登にとって、分娩機能の有無は病院整備の問題にとどまらない。地域の存続そのものに直結する問いだ。

「総合的に考えていかなければいけない」――山野知事の言葉

知事選において統合病院に否定的な考えを示していた山野知事は、今回の検討会について次のように述べた。
「これまでの2年間、議論をされてきました。その議論は尊重していかなければいけない。ただ一方では、今の分娩機能等々については様々な意見もありました。総合的に考えていかなければいけないと思っています。」
「出来る限りご理解いただける形で説明を繰り返していきながら、安全第一で考えていきたいと考えています」
明確な方向性は示されなかった。

来月12日、産科医療の分科会へ

今後、県は分野ごとに分科会を設けて協議を続ける方針だ。産科医療の分科会は来月12日に開催される予定で、その後に基本構想の策定へと進む見通しとなっている。
医療現場からは「一刻も早い新病院建設を」との声が上がっている。
人口減少と高齢化、そして震災の傷が重なる奥能登で、スピード感のある議論が求められている。

(石川テレビ)

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