花粉、ハウスダスト、卵、小麦…私たちの身の回りにあふれる物質が、いつ牙をむくか分かりません。国民病とも言うべきアレルギーの最前線を徹底取材した。
自覚がない人も最新機器を通して検査すると見えていなかった様々な事実が明らかに。
指先の血液を機械にかけてわずか15分。検査の結果、「一番重症です」と告げられた番組スタッフは「担々麺を食べて呼吸困難に陥り救急外来を受診したことがある」もののまさかここまで深刻だとは思っていなかった。
知っておきたい現代のアレルギー事情を徹底取材した。
■十年あまりでおよそ10倍に増加「ナッツアレルギー」
兵庫県三田市にある「おかもと小児科・アレルギー科」を訪ねると、診察台の上には生後11カ月の赤ちゃんが。
おかもと小児科・アレルギー科岡本光宏院長:小麦や大豆は赤く膨れていますね。卵もちょっと陽性がついていますね。
生後11カ月の赤ちゃんが受けていたのはアレルギーを判定する皮膚検査です。物質が身体の中に入ったときに、免疫が過剰に働いて、自身まで傷つけてしまうアレルギー。
おかもと小児科・アレルギー科岡本光宏院長:2人に1人は何らかのアレルギーを持っているという時代で、トータルで考えたら昔より増えている。
中でも、特定の食べ物が体内に入り発症する「食物アレルギー」は卵、小麦牛乳が「3大アレルギー」として知られているが、実はいま異例のスピードで急増しているアレルギーがあるという。
それが「ナッツアレルギー」だ。かゆみや発疹だけでなくひどい場合はアナフィラキシーを起こし重症になることがあるというナッツアレルギー。
その症例数は、この十年あまりでおよそ10倍に増えていて、最近ではナッツ類が原因のアレルギーは、卵に次いで2位になっている。

■「治せるなら治したい」
その実態を探ろうと、取材班が訪ねたのは大阪市内のクリニック。
くるみとヘーゼルナッツのアレルギーがあるという小学1年の双子の姉妹。症状には違いがあり、妹は全く食べられない。
母親は当時の様子をこう振り返る。
姉妹の母親:クッキーにくるみが入っていて、その時は口がかゆそうにしてて、発疹が結構出ました。全身に。
また、中学1年生の患者は、小学3年のときに初めてピスタチオでアレルギーを経験。
患者:食べたあとに胸がちょっと苦しくなったんですよ。気分がどんよりした感じで。
以来、ピスタチオは一切口にしていないというが、「治せるなら治したいですね」と話した。
藤谷クリニック 藤谷宏子院長:ピスタチオは最近クッキーとかチョコレートとかに入っていて、緑っぽいのはピスタチオの可能性があるから気を付けて生活してください。

■「発症年齢が低くなっているという」アレルギー
藤谷クリニックの藤谷宏子院長はその現状をこう説明する。
藤谷クリニック 藤谷宏子院長:かなり激しい症状が出るという印象はあります。特に発症の年齢が低くなっているのも特徴。
藤谷院長がナッツアレルギーが増えた原因のひとつと考えるのがナッツ類の国内消費量の増加だ。
こうした状況を受け消費者庁は今月1日からアレルギーを引き起こす恐れのある食品の表示を義務づける特定原材料に「カシューナッツ」を新たに追加。また、「ピスタチオ」も表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」に追加された。
ただし、経過措置の2年間はまだ表示されていないこともあり、注意が必要だ。

■「小麦」も使わない 「9大アレルギー」食材のパン屋も
取材班が訪れた大阪市内にある「MyBakery」では、小麦など「9大アレルギー」食材を一切使わないパンを販売しています。店主の軽部幸絵さん自身も小麦アレルギーを持っている。
MyBakery店主 軽部幸絵さん:このクロックムッシュはお米のチーズを使ってます。アレルギーのある子供が親にどれでもいいよって言ってもらえた時の顔をみるのが本当にうれしくて。
店を訪れた客の一人も「アレルギー体質があるので孫も軽い喘息やったりするので、こちらの方がいいかなと思って色々探して」と話していた。

■たった15分で45項目を検査できる検査も
もはや”国民病”と言っても過言でないアレルギー。
アレルギーを知らないまま生活することのリスクを浮き彫りにしたのが、今回の取材で実施した最新検査だ。これまで、1週間ほどかかっていたアレルギーの血液検査がたった15分で45項目を調べられることができるのだ。
まず検査を受けたのは、「アレルギー症状を自覚したことがない」という番組スタッフ。
指先からとったわずかな血液を機械にかけ、待つことわずか15分。なんと自覚がなかった「スギ」に陽性反応が出たのだ。
スタッフは「花粉のアレルギーはない人生だと思ってたんですけど…」と言葉を失う。大阪なんばJUN耳鼻咽喉科の伊賀順平院長は「ゆくゆく発症する可能性があります」と告げた。

■自覚のなかったアレルギーが続々判明
続いて検査したのは、去年担々麺を食べた後に呼吸困難となり、救急外来を受診した経験を持つスタッフだ。ピーナッツへの反応は自覚していたが、検査の結果は予想をはるかに超えるものだった。
大阪なんばJUN耳鼻咽喉科 伊賀順平院長:数値200以上がアレルギー体質の強いところが、1138。一番きつい『6』というクラス。
「一番重症ってことですか?一番重症ですか……」と絶句したスタッフ。
さらに詳しく見ると、やはりピーナッツはもちろん、自覚のなかったハウスダストに、ダニ、猫、スギ、ヒノキなど、強い反応が続々と出た。
伊賀院長はこの結果を踏まえてこう話す。
大阪なんばJUN耳鼻咽喉科 伊賀順平院長:やっぱり『自分を知る』っていうことは大事かなとは思います。自分が一体どういう症状があって、それが例えば何かアレルギー反応がとして出ているものなのか。その一種としてこういう迅速検査っていうのを使っていただくっていうのは、とても有効かなとは思います。

■治療にも進化が
「アレルギーは一生の付き合い」かつてはそう思われていたが、今、治療の現場は変わりつつある。
生後9カ月のとき、離乳食で食べたヨーグルトで蕁麻疹を発症し、牛乳アレルギーと診断された11カ月の男の子が、クリニックで受けたのは「食物経口負荷試験」という治療。飲めないはずの牛乳を、少量から試していく。
おかもと小児科・アレルギー科 岡本光宏院長:牛乳アレルギーの子は完全に牛乳をとってはいけないかというとそうではなく、ここまでなら飲めるという値がある。飲む方がおそらく治っていくだろうと言われているので。
この日の試験では、少しアレルギー反応がでたため、「判定保留」となり、引き続き同じ量を毎日飲むことに。
母親:この子が飲めるようになるなら、一緒に頑張りたい。
岡本院長は最後にこう呼びかけた。
おかもと小児科・アレルギー科 岡本光宏院長:アレルギーの専門の先生に受診してみるというのは、もしかしたら治るかもしれんいうことも含めてね、ぜひ相談して欲しい。
日々変わっていくアレルギー事情。まずは「自分を知る」ことが重要なのかもしれない。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月21日放送)

