ゴールデンウィーク目前というタイミングで、はしか(麻疹)の感染者数が去年の3.5倍に急増している。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、呼吸器感染症が専門の関西医科大学・宮下修行教授が解説。
今回の大流行の背景について、「はしかの”驚異的な感染力”」、「集団免疫の低下」という2つの要因を挙げた。
■「インフルエンザの10倍の感染力」はしかの感染力の桁違いな強さ
まず宮下教授は流行の要因の1つ「はしかの感染力の桁違いな強さ」について解説した。
宮下教授:我々が経験する感染症の中では、一番ランクが上と思っていてください。例えばインフルエンザは1人の患者から1〜3人に感染させる力があるのに対し、はしかは『約18人』。単純に言うと、インフルエンザの10倍ぐらいの感染力です。
風疹も強い感染力があるが、それでも1人から感染するのは「5人から7人ぐらい」であるため、「はしかがトップ」だと言えるそうだ。
感染経路は、咳やくしゃみ、会話などによる飛沫・接触に加え、”空気感染”する場合もある。
番組ではスタジオ内を例に挙げ、「部屋の端にいる人が感染者だとすると、どのあたりにいる人まで感染が広がるのか」という質問が出された。
宮下教授:多分この部屋中ですかね。スタジオ全体です。
列車の同じ車両内にいたら感染するほどだということだ。

■「潜伏期間が長い」 自分が感染源になっている可能性
厄介なのは感染力だけでない。はしかは潜伏期間も長いということだ。
宮下教授:(潜伏期間が)長いのが、実は厄介なんです。
熱も出ない、咳もない。でもウイルスは持っているという状態が存在する。
ただし宮下教授は、「感染は咳やくしゃみをすることで広がりますので、それがないとあんまり広がることはない」とも補足した。
また、はしかは肺炎や脳炎などの合併症を引き起こす可能性もある。「はしか」のウイルス自体に効く薬もなく、高齢者や持病を持つ人は、特に注意が必要だ。
宮下教授:基本的には薬がありませんので、簡単に言うと我慢するしかないわけです。

■大流行の原因「消えた集団免疫」
続いて宮下教授が説明するのは、「はしかの集団免疫が消えた」ことだ。はしかのワクチンの接種率が以前に比べて低下したことが原因だと説明する。
宮下教授:集団免疫を維持するためには、ワクチン接種率が95%必要です。95%の人が打っていると広がらない。
それを下回ると広がってしまうというのが分かっていまして、残念ながらコロナ禍でワクチン接種率が下がってしまっています。
(Q.コロナ禍でなぜ接種率が下がるのですか)
宮下教授:やっぱり受診控えが多かった。それから薬の供給も減りましたね。
また2026年のデータでは、20〜29歳の男性が特に感染者数が多いことが分かる。なぜこの世代が突出しているのだろうか。
宮下教授:1990年代前半から2000年代前半というのが、”ワクチン暗黒期”と言われた時期なんです。ワクチンの副反応が怖いとされ、接種率が一番落ちた時期です。
今はワクチンを打ったほうがいいという見解になっています。なお、2006年以降は麻疹・風疹の2価ワクチン(MRワクチン)が義務付けられています。

■「1972年より前の世代はゼロ回」 あなたは大丈夫か?
関西テレビの神崎博解説デスクは、「1972年より前の世代はワクチン接種がゼロ」と明かし、自身が抗体検査を受けたところ免疫がなかったため、2回接種したと語った。
一方で、「子どもの頃にはしかにかかった」という人も油断は禁物だという。
宮下教授:基本的には終生免疫(一度かかると一生免疫が続く)が成り立つのがこのウイルスの特徴なんですが、一度なったからといっても体の中で抗体がちゃんとできていない人や、または減衰する方もおられます。
さらに年齢とともに”免疫老化”が進むため、かつて免疫があった人でも、年齢を重ねるにつれて気をつける必要がある、と宮下教授は述べた。
そして自分がワクチンを接種済みかどうかを確認する方法は2つだ。
・母子手帳で接種記録を確認する
・血液検査による抗体検査を受ける
宮下教授:抗体検査は血液を取って、中に抗体があるかどうかを調べるだけです。クリニックで簡単にできます。

妊婦への感染は「お子さまに影響が出る」 でも妊婦本人は打てない
特に注意が必要なのが妊婦だ。
宮下教授:感染してしまうと当然ながらお子さまに影響が出てまいります。はしかのワクチンは生ワクチン(※)に分類されるため、妊婦には接種できません。
(※毒性や発病力を弱めたウイルスをワクチンとするもの)
だからこそ、周囲の人間が免疫を持ち、ウイルスを持ち込まないことが重要になる。
宮下教授は、不安な人はまず抗体検査で現状を把握することを勧めた。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年4月23日放送)

