鹿児島県指宿市の畜産加工会社・水迫畜産が、牛肉の産地や種類を不正に表示していた問題で、 4月21日、国と県が鹿児島市内の工場に立ち入り検査を実施した。再発防止策が適正に運用されているかを直接確認するもので、今後も不定期で検査が続けられる予定だ。
2023〜2024年にかけて不正表示 ふるさと納税の返礼品にも
この問題は、水迫畜産が2023年から2024年にかけて、牛肉商品に不正な表示を行っていたことが発覚したものだ。
具体的には、交雑種などを使用した商品に「黒毛和牛」と表示したり、鹿児島県外で生産された牛肉を「鹿児島県産」と表示するなど、種類と産地の両面にわたる不正が確認されている。さらに問題を深刻にしているのは、こうした不正表示された商品がふるさと納税の返礼品としても販売されていた点だ。
社長交代と報告書の提出 問題発覚後初の記者会見
問題の発覚後、水迫畜産は4月10日に初めて記者会見を開き、責任を取るかたちで社長が交代することを明らかにした。同日、原因の究明と再発防止策をまとめた報告書を国に提出し、県の担当課にも内容を報告している。
県の「かごしまの食輸出・ブランド戦略室」の宮田幸男室長は、「報告書の内容を精査しながら、原因や再発防止に向けた取り組みなどについて事業者の方に直接説明を求めていきたい」と述べ、今後は国と合同で調査を進める方針を示した。
「鹿児島黒牛」をはじめとする鹿児島産ブランド牛は、県が長年にわたって培ってきた農畜産業の看板だ。その信頼を損なう行為に対し、行政として継続的に関与していく姿勢が示された形だ。
4月21日に工場へ立ち入り検査 九州農政局が監視継続
報告書の提出から約10日後の4月21日、九州農政局と鹿児島県は、鹿児島市にある水迫畜産の工場へ立ち入り検査を実施した。検査のねらいは、報告書に記載された再発防止策が現場で実際に機能しているかを直接確認することだ。
九州農政局は今後も不定期で立ち入り検査を継続するとしており、再発防止策の実施状況と信頼回復に向けた動きを引き続き監視していく構えを示している。
地域ブランドの信頼をどう取り戻すか
鹿児島県の畜産物は、ブランド力を武器に全国へ、そして海外へと販路を広げている。今回の問題は、そうした積み重ねの上に成り立つ信頼を根底から揺るがすものだ。
水迫畜産が再発防止策をどのように実施し、地域の消費者や取引先との信頼をどう回復していくのか。国と県による監視のもと、その取り組みが問われ続けることになる。
(動画で見る▶不正表示問題 水迫畜産に国・県が立ち入り検査、再発防止策の実施確認)