広島県民にとってはソウルフードとも言えるお好み焼き。そのお好み焼きを誰でも食べられるようにと頑張る人がいる。小さな店の大きな挑戦。
広島市佐伯区にある「広島焼仔ぐま」今年、創業50年目を迎える。
店主の中川さん、誰もが食べられるお好み焼きを開発してきた。

アレルギーがあってもお好み焼きを
これは、7年前に開発した卵、エビ、小麦など7大アレルゲンを使わないお好み焼き。
通常は、鉄板ではなくフライパンで1食ずつ調理する。
ーーこの生地は何で出来てるんですか?
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
これは(粉を)4種類混ぜているのですが、米粉が入っているのは間違いないです。あとは山芋を入れたり、あと3種類、粉が入っています。この配合が難しいのですけど

麺も米粉で作られている。

ーーこの天かすは?
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
これも米粉です。実際にはソースも7大アレルゲンのうちの小麦を使ったソースというのが普通。中に(小麦をつかった)しょうゆが隠し味に入っていたりするので、しょうゆを抜いたものもあるので

そして、5年前には小麦に含まれるグルテンを取り除いたお好み焼きを開発した。
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
これ色違うでしょ。これ大豆なんですよ(大豆の)粉ですね。いわゆるオカラと言われている所です。豆腐になってカスになった部分が、実は糖質がほとんど無いのです

ーー麺の色も違いますね?
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
これも大豆麺です。天かすは大豆粉です。これだと全部食べても糖質がソースも合わせて19.6グラムです
4年前には低糖質のお好み焼きも開発した。
誰でも食べられるお好み焼きの開発。中川さんが始めたきっかけは。
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
例えば卵がダメな方、小麦がダメな方、複合的に小麦と卵がダメな方。それだけを抜けばいいだけの話で、こういうきめ細かい事。こういう事は大手の食品会社はやらない。彼らにはできないことを僕ら小さい所がやっていく。そうであれば、ビジネス的にも小さな商売ではないと思う

誤嚥を起きにくくするお好み焼きの開発
今、中川さんが取り組むのは、高齢者などの誤嚥を起きにくくするやわらかいお好み焼き。
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
お好み焼きの材料でお好み焼きの重なった順番で、ちゃんと麺もあり、肉もあり、生地もあり卵もあり

高齢者に多い誤嚥とは、食物などが食道ではなく気道に侵入してしまう事を言い、誤嚥が原因で「肺炎」を引き起こしてしまうこともある。
平成28年の厚生労働省のデータでは75歳以上の高齢者の肺炎のうち、7割以上が誤嚥性肺炎。

ーー製造工程は企業秘密ですよね?
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
今のところ、お示しできない。スチームコンベクションオーブンという機械を使うという所までは言えるんですが
開発をサポートしたのが、業務用機器メーカーのホシザキ。機械のほかにも介護食としてのアドバイスも行った。
ホシザキ中国コンサル室・三尾智聖 調理フォロー:
刻めば高齢者の方でも食べやすくなると言われますが、今は刻めば刻むほど誤嚥の可能性は高くなると言われている。そこで私たちはキャベツであったり、麺であったり、食材をペースト状にして、さらにゼリー状にしていく事で、安全性を高めた嚥下食を作ってきました

いくつになってもお好み焼きを
広島県民のソウルフードとも言えるお好み焼き。
そのお好み焼きをいつまでも、みんなで食べたいと中川さんは思っている。
広島焼き仔ぐま・中川健社長:
広島に生まれて広島で育った人間としたら、最後までお好み焼きを食べて長生きしたいと思ますけど、自分も年を取ってのどを詰まらせる可能性があるとすると、その時にやわらか食のお好み焼きが用意されていると人生楽しめるのではないですかね

アレルゲンフリーや低糖お好み焼きなどを希望される方は事前に連絡を頂きたいとのこと。
(テレビ新広島)