女子相撲で日本一の栄光をつかむこと32回、世界王者にも輝いた静岡県焼津市の山中未久さん。先日、3年ぶりの日本一に返り咲きました。実はこの優勝の裏にはあるドラマがありました。
この日、アマチュア相撲の聖地が湧きました!
焼津市出身・山中未久(32)。
ケガを抱えながらも3年ぶりの日本一!
女子相撲界に残る名勝負を演じました。
真っ先に駆け寄った相手が…。
相撲と出会ったのは5歳。
大きな相手を倒した喜びが彼女の人生を決めました。
静岡商業では県内初の高校女子部員として男子と稽古を重ね日本一に!
山中未久さん(当時・高校1年):
将来的には世界で金メダルをとりたい
国内では軽量級(65kg未満級)を主戦場に日本の頂点に立つこと、なんと32回。
2013年には世界王者にも輝き、女子相撲界のレジェンドとして広く知られています。
山中未久さん(焼津市出身):
これだけ真っ向勝負で身一つでぶつかり合って戦うのは相撲しかない。舞夏星という存在がいなかったらきょうまで土俵には立っていられなかった
舞夏星とは、浜松市出身の野崎舞夏星さん(29)。
同じ軽量級で戦う後輩です。
幼い頃から共に稽古し、憧れの先輩に追いつこうと輝かしい結果を残してきました。
大学卒業後は引退し、山中さんを支える側に回っていましたが、2025年、7年ぶりに現役復帰!
そこには、こんな思いが…
野崎舞夏星さん(浜松市出身):
何も自分はしてなくて応援だけって何だろうと思う部分があって…もう1回未久さんと共に戦いたいと思い、去年復帰を決断した
山中未久さん(焼津市出身):
舞夏星がそんな気持ちで復帰してくれたっていうのは並大抵の覚悟と気持ちではなかったと思うので
その言葉通り、社会人選手の挑戦は甘くはありません。
2人の拠点は京都と東京。
1年後の団体戦を目指すも、練習時間はほとんどなく…。
それでも休日には全国の強豪校へと一緒に出向き、鍛錬を続けてきました。
遠征後は課題の修正です。
山中さんの押す力は一級品。
ただ、レスリング経験者が増えて距離を取るスタイルが主流となり、引き寄せる力の重要性も痛感しています。
離れた相手を懐に引き寄せ、得意の接近戦へ。
山中未久さん(焼津市出身):
9回目くらいから諦めようかなと思った!
練習も熱を帯び、心身ともに充実した状態へ!
このレジェンド2人の挑戦は女子相撲界でも注目を集めていました。
山中未久さん(焼津市出身):
(Q.レジェンド2人が組む団体戦で女子相撲界の反応は?)(相手は)嫌だと思う
野崎舞夏星さん(浜松市出身):
平均年齢は1位になると思うので
山中未久さん(焼津市出身):
気持ちは若く!挑戦者の気持ちでいる!
しかし、勝負の神は試練を与えます。
大会当日、山中さんの足には何重にも巻かれたテーピング。
1週間前に膝を負傷。
痛み止めの注射で出場は叶いましたが、どこまで動けるのか…。
さらに、先鋒不在の彼女たちはすでに1敗が確定しています。
不安はありますが…
山中未久さん(焼津市出身):
人数が2人だろうが、2人で戦うことに意味がある
野崎舞夏星さん(浜松市出身):
未久さんと2人で出ることが今回の大会の意味だと思うので、2人で勝ちに行く
強い決意は細部に宿る…。
先陣を切った山中さん、勝負は一瞬でした。
稽古で磨いた“引き寄せる力”。
高い集中力で一分の隙もなく初陣を飾りました。
あとは任せた!
次は先輩からバトンを託された野崎さん。
相手との体重差は13kg。
野崎舞夏星さん(浜松市出身):
未久さんから来る流れは強力なものでしたし、心強い気持ちで取り組めた
その後も熱海富士の妹・武井選手擁する強豪・金沢学院大学を破り2回戦を突破すれば…
新進気鋭の専修大を撃破し、3回戦も突破!
快進撃は準決勝まで続き、銅メダルを手にしました。
この団体戦の勲章があったからこそ個人戦でも山中さんはケガへの不安を断ち切り、涙の日本一へと繋がっていったのです。
山中未久さん(焼津市出身):
舞夏星の存在と強い気持ち救われ、押され、舞夏星という存在がいなかったらきょうまで土俵には立っていられなかった
野崎舞夏星さん(浜松市出身):
自分よりも大きな選手に勝てた喜びは相撲じゃないと感じられないので、未久さんと一緒に噛みしめられたことは何よりも幸せでした
出会ってから17年。
2人の挑戦は、ある真実を教えてくれました。
泣き、笑い、傷付きながらも夢に向かう時間の美しさ。
それは、どれほどの栄光を重ねても手にできない、“かけがえのない宝物”に違いありません。