新学期最初の給食を頬張る、子どもたちの笑顔。国の支援制度を追い風に、広島県内では小学校の給食費を“無償化”する動きが広がっている。2026年度は21市町で無償に。一方で、食材費高騰という課題もあり、自治体は財源確保を迫られている。
新学期最初の給食に子どもたちの笑顔
「手を合わせましょう、いただきます」
「いただきます!」
新学期が始まり、初めての給食を迎えた広島・廿日市市の金剛寺小学校。5年生の教室では、子どもたちが中華丼を口いっぱいに頬張っていた。
「おいしいです!」
幸せそうな表情でそう話す児童。
別の児童は、久しぶりの給食を味わいながら言う。
「うまいな~って思ったり、このあと勉強かって思ったりしながら食べています」
この日の献立は、廿日市産のもやしやこまつなを使ったナムル、中華丼、牛乳。地元食材を取り入れた給食が、子どもたちの午後を支えている。
家庭の負担、廿日市市は“恒久無償化”
そんな学校給食について、廿日市市は2026年度から保護者負担を“恒久的に無償化”した。
廿日市市教育委員会の臼井啓祐学事・食育推進担当課長は、「子育てする上で食は重要。給食は注目度も高い。無償化することで、市が子育て世帯を応援していることをより理解してもらえれば」と話す。

無償化の背景にあるのが、国の新たな支援制度だ。
2026年度、国は「学校給食費の抜本的な負担軽減」として、児童1人あたり月5200円を支援。これを機に、廿日市市は保護者負担を2026年度以降も継続して「ゼロ」にする。
2026年度、広島県内21市町が無償
広島県内の多くの市町でも、無償化の動きが一気に広がった。2026年度の小学校給食費の保護者負担は、次のようになる。
【無償】広島市、福山市など19市町
【負担軽減】府中町(1食あたり60円負担)、庄原市
【これまでも無償】大竹市、安芸高田市
これまで、県内で地域差はあるものの1食あたり240~290円を保護者が負担してきた。無償化は子育て世帯にとって大きな支援となる。
一方で、「食材費の高騰」は各自治体共通の課題だ。
広島市では2026年度、1食あたりの食材費が309円から360円へ上昇。国の支援だけでは賄いきれず、どの自治体も不足分を補うために別の財源が必要になる。こうした事情から、府中町は1食あたり60円を、庄原市も不足分は保護者に負担を求めるとしている。
食材費高騰でも「質や量を落とさない」
給食が子どもたちに届くまでには、人件費や光熱水費、食材費などさまざまな費用がかかる。
廿日市市ではこれまで、食材費の一部を保護者が負担し、2025年度は1食あたり275円を徴収していた。
2026年度、廿日市市の給食費は月額換算で6140円。国の支援5200円との差額を市が負担して無償化する。物価高により、1食あたりの食材費も20円上がった。それでも、価格上昇を理由に給食の質や量を落とさず、献立や調理時の工夫、財源の確保に取り組む方針だ。
市内27校のうち16校分、約6800食を担う廿日市学校給食センター。大きな釜で大量調理する現場では、可能な限り市内や県内産の食材を使い、野菜を洗う作業やカットも一つひとつ手作業。手作りにこだわった給食づくりを続けている。
「素晴らしく感謝」給食から学ぶこと
給食の時間が一日の中で特に好きだという5年生の男の子は、こう話す。
「給食をつくってくれることを素晴らしく感謝したい」
別の児童も「味に気持ちがこもっているのを感じておいしい」と笑顔を見せた。
廿日市市教育委員会の臼井さんは「給食を通して、初めて地元の食材を知る子どもも増えている。家庭でも味わうきっかけになれば」と話す。
“生きた教材”とも呼ばれる学校給食。地域の食文化に触れ、作り手への感謝を学ぶ――。無償化の広がりは、子育て支援だけでなく、その価値を改めて見つめ直す機会にもなりそうだ。
(テレビ新広島)
