2026年2月に行われた衆議印議員選挙。立憲民主党と公明党の議員たちは土壇場の合流劇で誕生した「中道改革連合」の旗の下、戦いに挑んだが、その結果は公示前の167議席が49議席へ激減する歴史的な大敗となった。選挙から約2カ月が経過した今、県内の中道落選議員たちは深刻な財政状況の中、自らの足で現場に赴き、“手書きチラシ”を手に街頭へ立つ。一方「中道」の行く末は依然として不透明で“合流”に向けても模索が続いている。

手書きのチラシ 落選議員の切実な日常

前衆議院議員・岡本章子氏
前衆議院議員・岡本章子氏
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4月、新年度を迎えたばかりの仙台市中心部の官庁街には、街頭で演説を行う中道改革連合の前衆議院議員・岡本章子氏(宮城1区)の姿があった。

中道・前衆議院議員 岡本章子氏:
仙台の街並みも変わっていきますが、安心して暮らし続けられる仙台を、という思いは変わらない。これからも皆さんの声を聞きながら活動していく。

先の衆院選で自民党候補に約3万票の差を付けられ落選した岡本氏。敗戦翌日から街頭に立ち、ライフワークである子供や子育て家庭の支援拡充への訴えを続けている。しかし、その活動を支える懐事情は深刻だ。

チラシの修正も手書きで書き加えた
チラシの修正も手書きで書き加えた

この日の街頭活動に同行した事務所スタッフは私設秘書1人。岡本氏はこの他、別の秘書1人と配信を手伝うスタッフ1人の計3人を抱えるが、スタッフの給料や事務所運営のための活動資金が党からいくら支給されるかは決まっていない。秘書らとともに街頭で配るカードサイズのチラシは衆議院議員の肩書の前に“前”と手書きで書き加えて再利用している。

中道・前衆議院議員 岡本章子氏:
日本で暮らし育つということが楽しいと思える環境を作っていくのが根本的なライフワーク。そのために子育てを頑張っているパパ・ママを支えることにずっと取り組んでいきたいと思っている。当面は(貯金を)切り崩して、自身のことは質素に、政治活動はちゃんとやろうと思う。

総務省の発表によると、2026年分の中道改革連合に配分される政党交付金は約23億3800万円と決まった。「中道」・「立憲」・「公明」を合算すると総額は約68億5500万円。2025年分の「立憲」「公明」の政党交付金の総額は105億2000万円なので、大幅な減少となった。
これまで立憲民主党では、現職ではなくても立候補予定の選挙区支部長には月50万円の活動費が支給されていた。しかし中道改革連合となった今、党から落選議員へ支援がどのくらい配分されるかは決まっていないという。

「中道をなくしてはいけない」

医療現場のヒアリングを行う鎌田さゆり氏
医療現場のヒアリングを行う鎌田さゆり氏

宮城2区で落選した中道改革連合の鎌田さゆり氏は、福祉・医療施設を訪問し現場の声のヒアリングを続けている。4月上旬、自らの運転で仙台市内の施設を訪れた鎌田氏に、施設の院長は実情を訴えた。

仙台エコー医療療育センター 院長:
医療的ケアの必要がある重症心身障害の人を受け入れると、大体事業所は赤字になる。これは国政の問題で、障がいの重さとかで制度の立て付けを変えてほしい。

中道・前衆議院議員 鎌田さゆり氏:
現職の仲間とともに、厚労省との2回目3回目と意見交換の場を作っていくし、政省令の改正という一つのゴールを議員であってもなくても目指す。

現職議員とのパイプを生かし、国の制度改正に意欲を示す鎌田氏。しかし、中道・立憲ともに議員が激減し国政全体での影響力は低下している。さらに衆院選の大敗を受けて全国では中道からの離脱者も出ている。厳しい現実が突き付けられる中、鎌田氏は「中道という党をなくしてはいけない」と語る。

中道・前衆議院議員 鎌田さゆり氏:
中道を作りました、選挙で大敗しました、では中道なくします。そんなことは絶対やってはいけない。国民の皆さまに呆れられる。今踏ん張って、中道という理念、命・平和を守るということを粘り強くやっていきましょうと。

一方、地方組織や衆参両院で議員が残る「立憲」「公明」が「中道」へ合流する見通しについては慎重な考えを示す。

中道・前衆議院議員 鎌田さゆり氏:
丁寧に、一緒に活動していき、気が熟してきたという時に、合流した方が良い。

中道「合流」を前に立ちはだかる、越えなければならない壁

落選議員たちが地域での活動を続ける一方、中道・立憲・公明は、今も合流・連携のあり方について議論の最中にある。

3月に開かれた立憲・公明それぞれの党大会では、当面の間、中道への合流を見送る方針が確認された。地方組織でも二つの党が当面存続することになり、例えば宮城県議会においては与党勢力の「公明党県議団」と、野党勢力で立憲系の「みやぎ県民の声」がそれぞれ残ることになる。

立憲民主党宮城県連代表 石垣のり子参議院議員
立憲民主党宮城県連代表 石垣のり子参議院議員

立憲民主党宮城県連代表の石垣のり子参議院議員は、安全保障政策や経済政策においてさらなる議論が必要であるとし、トップダウンでの安易な合流には否定的な見解を示した。

立憲民主党宮城県連代表 石垣のり子参議院議員:
中道改革連合の掲げている方針に対して、現状ではそのまますんなりと、私個人は首を縦に振ることはできない。安全保障の政策であったり、経済政策であったり、お互いに政策論争を深めながら示していく。本来、新しい党を作る前にやらなければならなかったことを、今やっている。その上でどういう結論に達するのかということ。

公明党宮城県本部代表 横山昇県議会議員
公明党宮城県本部代表 横山昇県議会議員

また、公明党宮城県本部代表の横山昇県議も、地方政治におけるパートナーが変わることによる混乱を懸念しつつ、合流には支持者の納得が第一であると強調する。

公明党宮城県本部代表 横山昇県議会議員:
今後、合流することによって、地方政治で様々な連携するパートナーが変わってきたりする。今まである意味、戦っていたもの同士が一緒になるということについては、様々な部分での乗り越えるべき壁があるという認識。私たちの党員・支持者と、立憲民主党さんの党員・支持者、双方の話を聞きながら、納得する形で合流していくのが一番いい。それを乗り越えないと、新たなステップを踏めない。

安住淳氏
安住淳氏

一方、新党結成を主導した安住淳氏だが、関係者によると現在も中道に所属しながら、東京や地元でのあいさつ回りを行っているという。自身のSNSでは選挙後、全国の落選した若手議員の支援に取り組んでいく意向を示している。

急造の「中道」に突きつけられた歴史的大敗は、野党共闘のあり方そのものを根本から問い直すものになったといえる。「中道」の旗の下に各党が結束できる日は来るのか。模索は続いていく。

仙台放送
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