中東情勢の緊迫化による資材価格の高騰が、鹿児島県内の中小企業や個人事業主を直撃している。養生テープの仕入れ価格が短い期間で倍増するなど、現場の負担は深刻さを増す一方だ。5月27日には県内約3200社が加盟する団体が県に負担軽減を求める要請を行い、「弁当箱が取れなくて廃業」という切実な声も上がった。
40%超の値上がりも——鹿児島市の金物店が直面する現実
鹿児島市小松原にある「永仮金物」は、建築資材や塗料を幅広く扱う店だ。2026年3月以降、メーカーや問屋約25社から値上げや出荷制限の通知が相次いで届いており、中には40%以上値上がりする製品もある。

具体例として挙げられるのが、建設現場でよく使われる養生テープだ。2025年の仕入れ価格は1本200円ほどだったが、現在は330円、さらに今後は400円程度まで上昇する見込みだという。短期間で価格が倍になる計算だ。

同店の永仮哲也代表は、「『仕事はあるが仕事ができない』というお客さんの話をよく聞く。助成があると助かると思う」と語る。受注はあるのに資材の調達や価格高騰が壁となり、仕事を前に進められない事業者が増えているという実態が浮かび上がる。
影響は「9割超」——アンケートが示す県内の厳しい現状
5月27日、県に要請を行ったのは「県商工団体連合会」の関係者だ。中小企業や個人事業主など約3200社が加入するこの団体は、加盟事業者を対象に中東情勢の影響についてアンケートを実施した。
76社が回答し、すでに影響があると答えたのは約60%。「今後影響がありそう」と答えた事業者を含めると、9割を超える。影響の内容としては、仕入れや資材の高騰、調達困難、利益の減少といった答えが目立った。

同連合会の松山忠樹会長は状況をこう表現する。「野菜やご飯が入らないのではなくて、弁当箱が取れないということで廃業となった(事業者もいる)」。仕事の中身ではなく、それを形にするための道具や資材が手に入らない——そんな構造的な問題が現場を追い詰めている。
県への要請と、今後の焦点
訪れたメンバーが県に求めたのは、電気・ガス代や資材価格高騰への負担軽減にとどまらない。家賃や税金などの固定費への補助も求めており、経営を維持するための包括的な支援を訴えた。
これに対し県は、2026年度に新たに創設した中小企業向けの融資制度を説明したほか、国の補正予算の動向を注視しながら必要な対策を検討する考えを示した。県商工政策課の浜田久美子課長補佐は「国の補正予算も踏まえて必要な対応を検討したい」と述べた。
松山会長は要請後もこう語っている。「我々の団体の中にも年配の人がいる。その人たちはどうやって生活するのか、それを私たちは考えている」。高齢の個人事業主が多い地域の産業構造の中で、価格高騰の波が生活そのものを脅かしつつある現状がにじむ。国の補正予算の行方と、県がどこまで踏み込んだ支援策を打ち出せるか——地域の事業者たちはその動向を固唾をのんで見守っている。
(動画で見る▶資材価格高騰で影響 県商工団体連合会が県に負担軽減を要請 金物店では40%値上げ製品も)
