アメリカとイスラエルによるイラン攻撃。未だに続くホルムズ海峡の封鎖。解決の糸口が全く見えないまま原油供給不足への不安が広がりつつある。停戦に向けた協議は今後どうなるのか。アメリカ・イランの停戦協議直前の福岡の街には、心配の声が広がっていた。
鮮魚店「水気があるのでビニール袋しか…」
新鮮な魚介類など豊富な食材が並ぶ“博多の台所”、福岡市中央区の柳橋連合市場。

いま、石油由来製品の食品容器やレジ袋など、店舗備品に値上げの波が押し寄せていて、多くの店舗が対応に苦慮している。

明太子や鯨肉などを中心に扱う『幸村英商店』の幸村茂雄さんは「私たちのように食品を取り扱う店では、食品包装用のビニール製品。5~6月頃から仕入れの値段を上げさせてもらうと説明を受けた。上がり幅は10%から30%」と話す。

鮮魚店『船津商店』の船津豊次さんは「魚店は袋代を請求しない。魚は水気があるので入れるのがビニール袋しかない。サービスだからなかなか厳しいですよ」と話す。

創業90年の老舗和菓子店『蛸松月』では、商品を包装するフィルムや販売用の容器の仕入れ価格が、5月から約3割上昇するうえ、今後の調達も困難な状況となっている。

蛸松月の上村美鈴さんは「出荷停止している製品もあるので、頻度の高いものは取り置きで在庫している」と話す。

いまの時点で販売価格への転嫁はないということだが「今後の上がり方によっては分からない」と上村さんは、価格維持への不安を口にした。
エンジンオイル 在庫は現在30台分
“令和の石油危機”。取材を進めると更に深刻な問題も浮き上がってきた。

福岡・大牟田市で新車、中古車を販売する『オートサルーン羽山』。車の整備や点検、板金塗装なども実施し、月に1000台近くを手掛けている。

「1週間ほど前、事態が急変しました」と話すのは、オートサルーン羽山の堤亮二・営業部課長だ。軽油を燃料とするディーゼル車のエンジンオイルが出荷できないとメーカーから連絡があったという。

「ディーゼル車のエンジンオイルが、かなりいま危機的状況になっていて、もうこれだけなんですよ。うちにあるのが。これからも入ってこない状態なので…」と仕事場の片隅に置かれたエンジンオイルを指差す。現在30台分しか在庫がないというのだ。

またガソリン車のエンジンオイルも少しずつは届いているものの、いつ完全に入荷が止まるか分からない状態だという。

「実際メーカーさんたちも正直、この先の状況が分からないって、うちの担当者も言っている。大体、ひと月に3000リットルくらいエンジンオイルを使っています。かなり多いです。なので、かなり多いお客さんにご迷惑をかけてしまう」と堤さんの表情も曇る。

ほかにもブレーキオイルやディーゼルエンジンを動かすのに欠かせない天然ガス由来の『尿素水』も入荷がストップしていた。

影響は留まらない。塗料用のシンナー不足も深刻だ。板金塗装で使用する3種類のシンナーや塗料も入荷が止まり、今後、いつ入ってくるか分からないという。

「初めて経験することなので対処法が分からない。お客さんにも謝るしかないですし、もう本当に身近なものだったんだなと思い知らされました」(『オートサルーン羽山』堤亮二・営業部課長)。

福岡の産業に暗い影を落とす令和の石油危機。その影響は日に日に深刻化している。
(テレビ西日本)
