福岡県議会で、メディアの取材制限に繋がる新たなルールが検討されていることが明らかになった。取材や撮影などについて「原則として前日までに対象者の承認を得る」といった内容になっている。こうした新ルール案が浮上した背景やその内容の妥当性についてジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(2026年5月28日放送『報道ワイド 記者のチカラ』より)
報道機関の追及取材に対する牽制か
報道陣に配布された新ルールの素案。全てこれまではなかったものだ。
新ルールの素案には「議員控室に入るときは責任者の承諾を得ること」とあり、続いて「議会棟で取材撮影を行うときは前日までに対象の議員の承認を得ること」。更に「議会等で撮影等を行うときは議会事務局の承認を得ること」となどと記されている。当初は「状況によっては記者に退去を求めることもあり得る」というような話もあった。

そもそも背景にあるのが、県議会による高額な海外視察の問題や県議のパーティー券の購入を巡る問題というのがあり、これを追及する取材が続いていたので、報道機関への牽制なのではないかという見方もある。
“権力の高い壁の向こう側”を知る権利
今は、トーンダウンしているとはいえ、素案が報道機関に配られたことについて―。
▼鈴木哲夫氏「『前日までに』と言うけれど、きょう今、この瞬間に何が起きるか分からないわけで、そのときに取材をしないで『原則前日までに』って、こんなことはまずありえないですよね。もう何度もこの問題について僕も発言しているけど、基本的には報道の仕事というのは、報道の“知る権利”、要するに一般の人たちが知り得ない“権力の高い壁の向こう側”と僕は言うんだけど、マスコミが一般の人の代表として先頭に立って取材をするわけですよ。だからここに規制をかけるっていうことは「一般の人たちに対して喋らないよ」っていうことです。こんなことは絶対にあっちゃおかしいことなんですよね」
「問題は、一体、誰がこれを言い出して、なぜ議会事務局が動いたのか。この辺がだんだん曖昧に今なってきているでしょ。だからこの辺も本当、はっきりさせるべきだと思うけれども、取材という原点を考えたときにこういうルールは絶対にあってはならないというのは間違いないですよね」
報道機関のエゴではなく、県民のためにならないということ―。
▼鈴木哲夫氏「その通り。僕らは県民の先頭にいて、代わりに僕らがマイクを向けて言っているっていうことですよね」
県議会の海外視察 国会にも“飛び火”
今、この福岡県議会を巡る一連の問題、議論が国会に広がろうとしている。日本保守党の北村晴男参院議員が5月27日、政府に対して書面で質問する質問主意書を提出した。これは、福岡県議会に関する内容で、県議会の海外視察は特定の議員の利益を図る背任罪にあたる可能性があるが、総務省は事実調査をする考えがあるのかということなどを政府に対して質問している。

今後どういう動きになるのか―。
▼鈴木哲夫氏「この質問主意書にどういう回答が来るか分かりませんけれども、福岡県議会が海外視察でいろんな問題が起きているぞと、それから今回のような取材規制でこういうことが起きているとなると、福岡県議会の権威が全国的に見て下がっていきますから、これを立て直すのはまさに県議会そのものですよ、県議の人たちですね。だから今まで問題になっていることきちんとけじめをつける、答えを出す。もうそれしかないと思いますね」

今回、その取材制限や海外視察の問題などがあるが、一部の議員に取材すると、支援者からも福岡県議会が『今、どうなっているんだ』という不満の声がはっきり上がっているようだ。来春には県議選が控えている。今、まさに県民全体で議会のあり方を厳しく見ていく必要がある。
(テレビ西日本)
