春の足音が聞こえ始めると、同時にやってくるのが「花粉症」の季節。
「3月末から鼻水とくしゃみが止まらない」「目がかゆくて頭痛まで…」 そんな道民の皆さんの悲鳴が、今年もあちこちから聞こえてきます。
しかし、今年の札幌は「いつもと違う」異変が起きているのをご存知でしょうか?
「最近、マスクがないと鼻がムズムズして…私、スギ花粉症なんです」
えっ、札幌でスギ花粉?
北海道でスギが多く分布しているのは、道南の一部地域だけのはず。それなのに、札幌市内でスギ花粉症に悩まされている人がいるのです。
■専門家も驚く「珍しい状況」
北海道立衛生研究所のデータを見てみると、驚くべき事実が判明しました。
3月15日ごろからスギ花粉が飛び始め、30日にはなんと「極めて多い」レベルに達していたのです。 専門家も、「札幌市でスギ花粉がこれほどの数値に達するのは珍しい状況です」と驚きを隠せません。
本来もスギ花粉がないはずの場所で、なぜ大量のスギ花粉が舞っているのか? その謎を解く鍵は、札幌市民の憩いの場「円山」にありました。
■円山の森に隠されたミステリー
円山公園と円山動物園を結ぶ、静かな木道。 そこを歩いてみると……ありました。道の両サイドに、どっしりとそびえ立つ幹の太い木々。紛れもなく「スギの木」です。
円山公園管理事務所によると、これらのスギはなんと樹齢120年から130年にもなるといいます。
なぜ、こんなところに立派なスギ林があるのでしょうか? 時計の針を、北海道の「開拓時代」まで巻き戻してみましょう。
■130年前の「試験栽培」が残した歴史の証人
今から約130年前の明治時代。 当時の円山公園には、北海道の厳しい自然環境にどんな樹木が適しているのかを研究する「円山養樹園」という施設がありました。 全国から様々な種類の樹木が集められ、試験栽培が行われました。その一つが、このスギだったのです。
厳しい札幌の冬を乗り越え、気候に適合して力強く生き残ったスギたち。 札幌の開拓の歴史の中で生き残った、貴重で歴史的な意味を持つ樹木なのです。
つまり、今札幌で舞っているスギ花粉は、130年前の開拓者たちの挑戦の証とも言えるのです。そう考えると、厄介な花粉も少しだけロマンチックに……感じられないかもしれませんが、なんとも感慨深い歴史のミステリーですよね。
■スギの次は、いよいよ「シラカバ」の季節へ
さて、気になるスギ花粉の今後ですが、ご安心ください。 スギ花粉の飛散期間は短く、数日間で終わる傾向にあります。今年もピークを越えれば、まもなく収まる見込みです。
ただし、油断は禁物。北海道の花粉シーズンはこれからが本番。多くの道民を悩ませる「シラカバ花粉」の季節がやってくるからです。
花粉が飛び始めるのは4月24日ごろからの予測で、しかも、去年より多く飛散すると予想されています。
マスクや薬の準備はしっかりと。 万全の対策で、北海道の短い春を快適に楽しみましょう!