計算ドリルに漢字の書き取り。これまで小学校の宿題と言えば先生から全員一律に与えられた課題を自宅でこなすのが一般的だったが、いま新たな取り組みを進める学校も増えている。背景にある狙いとは?
宿題は必要?在り方を見直す動きも
子供たちの学力定着を目的に学校から出される宿題。
保護者に意見を求めると、「繰り返し勉強することで頭に入っていく」「理想は自分で苦手な分野をやってくれたらうれしいが、言われないとやらないのであった方がありがたい」「たまに宿題が無いと喜んで帰ってくる時があるけれど、保護者としては毎日やってほしいと思っている」と、総じて必要という考えの人が多いようだ。

ただ、県外の学校では廃止に踏み切る学校もあり、いま、その在り方について見直しが進められていて、掛川市教育委員会 学校教育課の岡本慎也 指導主事は「掛川市においては学校の先生が決めた宿題に取り組む場面もあるが、子供たちが自ら何をやるか考え、何が必要かを考えて取り組む、子供たちにとって必要ある学びにすることを意識して取り組んでいる」と話す。
自ら学びを考える”けテぶれ”とは?
そこで、市内にある原谷小学校で4年生の授業をのぞいてみると、川隅翔太 先生が“けテぶれ”という聞きなれないワードを発していた。

“けテぶれ”とは計画・テスト・分析・練習の頭文字を組み合わせた造語で、自ら計画を立てた上で問題を解いて結果を振り返り、弱点を克服するために必要なことを考えて勉強するというサイクルを繰り返す学習法のことを指す。
この日は、子供たちが1年間”けテぶれ”を実践した成果を発表していて、「目標の内容がわかりやすくなった」「凡ミスなどがなくなった」などと成長を実感しているようだ。
原谷学校では、5年前に川隅先生が”けテぶれ”を取り入れると一昨年からは全校で実践。
現在は家庭学習にも応用し、宿題は課題を一律に与える形ではなく子供たち自身が考えていて、川隅先生によれば「困惑する子も当然いるが、そういう子には自分がフォローをしたり、友達同士で教え合う時間を確保したりしているので、できるようになっていく子が多い」という。

このため、児童に話を聞いても「どうやったら楽しくできるかしっかり考えてやるから、難しいけど慣れてくると楽しい」「自分にあったやり方ができるから楽しい」と、概ね好意的にとらえていることがわかる。
家庭学習で見えた子供の成長
では、実際にどのように家庭学習が行われているのか?
4年生の鈴木佳帆さんの自宅を訪ねると熟語の勉強に励んでいた。

友達の学習方法に工夫を感じたことから、貸与されているタブレットで写真を撮り、さっそく自身も取り入れることにしたそうだ。
覚えたい漢字を繰り返し練習すると同時に、その字を使った熟語をタブレットで調べ意味も確認。
時にわからないことは母の映美さんにも聞き、集中力を切らすことなく家庭学習を終えた。
映美さんは我が子について「成長したと思う」と口にした上で、「最初の頃はやり方がわからず、すごく苦労していたが、今は何ができないか客観的に見られるようになっていて、重点的に自分なりに工夫してやっているんだなと思う」と目を細める。
一方、「一番苦手で、そんなに”できた”にならなかったから」と、過去にも解いたことのある算数の問題に取り組んでいたのは同じく4年生の内藤福喜さん。

父・一紀さんによれば、自分が決めたことだと集中しやすい性格で、一通り勉強を終え感じたことや学んだことについての分析も記入すると、今度は授業でまだ習っていない部分のページを開いた。
その理由について「わからないまま学校に行っても何もわからないので、”できた”にしてから行った方が良いのではないかと思って」と、意欲をのぞかせる。
自主性や主体性を養う教育の今後は?
原谷小学校では、低学年については宿題という形で一律の課題を用意しているものの、学年が上がるにつれて子供たちが自ら考え、取り組めるような形へと徐々にシフトさせていて、熊膳直也 校長は「すでに1年生にも“けテぶれ”という言葉は浸透していて、自分で考えて課題を作って学習をすることについては取り組んでいる。『低学年にとっては少し難しいのではないか』という意見や『うちの子には難しい』という意見をもらっているので、その都度、個別に子供たちにアドバイスをすることで対応していきたい」と説明する。

時代の流れと共に変化する教育の在り方。
正解がない中で子供たちの自主性や主体性を養う取り組みが定着し、他の学校や地域にも広がっていくのか注目されている。
