特集はシリーズ『熊本地震10年あの日を忘れない』。『震度7』の揺れに2度襲われた益城町に残る〈震災の爪痕〉を地域住民が主体となって保存し、防災に役立てる活動を続けています。熊本地震の教訓を語り継ぐ取り組みを取材しました。

【熊本地震・平田震災遺構保存会 濱田 雅之 会長】
「布田川断層の地下からの地球のエネルギーを感じ取って楽しいイベントにしてもらえれば…」

3月22日、益城町の平田地区で震災遺構をめぐるフットパスがありました。

イベントには地元の住民などおよそ30人が参加。〈熊本地震の爪痕〉を見て回りました。

【ガイド 井上 美喜男さん】
「今、皆さんが立っている所は断層の真上。熊本地震の当時、ここは人も車も全然通ることができない状態だった。そして隣りは地すべりした跡。地すべりした土砂で道路はふさがれていた」

当時の状況を伝えるガイドを務めるのは『熊本地震・平田震災遺構保存会』のメンバーです。

【ガイド 井上 美喜男さん】
「伝えたいことは地震の怖さ。地震というのは一瞬にしてこういうことをするんだよ(と伝えたい)」

益城町の南東部・平田地区は真下に布田川断層帯が走っていて、熊本地震ではおよそ100軒の住宅が全壊となるなど甚大な被害に遭いました。

【熊本地震・平田震災遺構保存会 濱田 雅之 会長】
(2021年取材)「震災遺構を活用したまちづくりの始まり」平田地区は、断層が地表に露出していて、消防小屋のコンクリートの床に入った亀裂や横ずれしたフェンスなど地震のエネルギーを物語る爪痕が多く残っています。

こうした爪痕を震災遺構として残そうと、地域住民が主体となって5年前の2021年に保存会を設立。

熊本大学や広島大学などの協力を得て震災遺構の保全や見学通路の整備などを進め、学生などの視察を受け入れています。

この震災遺構の保存に協力した熊本大学の鳥井 真之特任准教授は「防災教育の場として極めて貴重だ」と評価します。

【熊本大学 鳥井 真之 特任准教授】
「地震当時の様子をそのまま残されているのは学術的に価値がある」「熊本地震を語る上で非常に重要な地点となっているのが平田地区」「地元の住民が中心となって活動されていることが非常に評価されるべき点」

3月22日、フットパスが行われていた平田地区では、熊本地震で被災したサクラが震災を乗り越え見事な花を咲かせていました。

【農業 光永 幸弘さん】
「サクラの生命力…、よく生き残ってくれたなと」福島県三春町の『滝桜』がルーツのベニシダレザクラです。

地元で農業を営む光永 幸弘さんが福島から苗木を取り寄せ2010年に植えました。

【農業 光永 幸弘さん】
「ちょうど下に断層が通っていて根元が割けた」熊本地震で、真下を走る断層が根元を引き裂きました。

【農業光永幸弘さん】「風が吹けば倒れるのではないか」「もう枯れるのではないかと思ったが、自然と樹皮が巻き込んできた」

徐々に割れ目もふさがり、2年後には再び花を咲かせたといいます。

【農業 光永 幸弘さん】
「うれしかったですね」「このサクラの成長と地区の復興が並行して進んだのかなと」

光永さんが植えたサクラも震災遺構として保存されていて、見学コースの一つとなっています。

【ガイド】
「こぶしが入るくらい根元に穴が開いていた。自力でここまで修復した」

この日、参加者はコンクリートの床に大きな亀裂が入った消防小屋なども見て回りました。
【参加者(益城町)】
「その当時のことを思い出す」「年月がたてば自然と忘れていくし、新しい世代も分からないと思うので、残していく必要はある」

【熊本地震・平田震災遺構保存会 濱田 雅之 会長】
「いろいろな災害に、いつなんどき遭うか分からないので、熊本地震の経験を生かして、地域おこしにつながっていけばいいのではないか」

熊本地震から10年、あの日の教訓をこれからも伝え続けます。

地域住民が主体となった平田地区の震災遺構の保存・活用は先進的なモデルとなっていて、おととし、日本活断層学会の学会賞を受賞しています。

その一方で、メンバーの高齢化が進んでいて、ガイド役など若い世代への継承が課題となっているということです。

テレビ熊本
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