成人の2割が悩んでいるといわれる「不眠症」。布団に入っても寝付けず、焦りを助長し、さらに寝付けない…。良い睡眠をとるための秘訣を専門医に聞くと、「帰宅後の行動」が睡眠の質を左右する重要な要素になるという。

大切なのは「時間」より「質」

不眠症とは睡眠障害の1つで、「眠れない」または「眠り続けることができない」状態が続く障害のことを指す。長引けば心身に不調が現れ、仕事や生活にも支障が出る恐れもある。

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生活習慣の乱れやストレスが主な要因となる。日本では成人の2割以上が不眠に悩んでいるとのデータがある。また高齢者の3人に1人が、睡眠の問題を抱えているとされる。

どんな人にも起こりうる不眠症。たくさん寝たはずなのに、眠い時もある。その理由を福井市の「ドクター・ズー」の清水元茂院長に聞くと、「睡眠の質」の問題を指摘した。

清水元茂院長:
不眠症の症状は、深い睡眠がとれていないことで起こる。深睡眠が十分にとれるかどうかが大事

睡眠は浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動する。眠り始めて90分間はもっとも深い眠りが続き、特に若年層は最初の3時間に深い睡眠、いわゆる質の高い睡眠が集中する。

清水元茂院長:
理想の睡眠時間は6~8時間と言われているが、大事なのは時間でなく質。私は睡眠時間が5~6時間だが、朝はすっきり起きてすぐ動ける状態

「質」の高い睡眠をとるには?

福井テレビ・坂本剛史アナウンサー:
では、質の高い睡眠をとるためにはどうしたらよいでしょうか?

清水元茂院長:
生活習慣が一番大事。生活にメリハリをつける。朝はご飯を食べる。昼は動く。運動でメリハリを作っていく

質の高い睡眠をとる上で大切なのは、帰宅してから就寝までの時間を意識することだという。

清水元茂院長:
仕事後、就寝までいかに副交感神経を働かせる時間を持てるようにするかが重要になる。帰宅後、すぐに食事、すぐに就寝となると副交感神経がうまく作用せず、良い睡眠をとることが難しくなる

良い睡眠をとるにはまず、日中は体を動かすように心掛ける。次に仕事から帰った後からは、睡眠までの準備時間になる。帰宅後は副交感神経を働かせるリラックスタイムを取ることが大切で、短くても自分の好きなことをする時間を確保するよう意識することが睡眠の質を高める秘訣だという。

早く寝ればいいというわけではない

一方、年齢が上がるにつれて、目が覚める時間は早くなる傾向がある。ただ、過度に恐れる心配はないという。
それは年齢を重ねると日中動く時間も短くなり、若い時と比べると身体の疲れも少なくなる。そのため睡眠時間が短くなっても影響は少なくなる。

清水元茂院長:
早く寝ると睡眠時間が確保できると思う人も結構いるが、それは逆効果。不眠症の1つの敵はベッドで闘うこと。寝ようとすると眠れない。眠れない時はベッドではないところで時間を過ごし、眠くなったらベッドで寝る。眠くなったら寝ると考えると楽になる

不眠症の受診の目安は3カ月。ただ、初めて不眠症になり不安のある人は、早めの受診を勧めている。

(福井テレビ)

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