人気店を守る20代の兄弟。店主の病気などで一度閉店し、2年半前に復活した長野県松本市の洋食店「盛よし」。亡き2代目の息子2人が3代目として厨房に立ち、支え合いながら変わらぬ味と店を守っています。

■行列のできる人気洋食店

アツアツの鉄板に乗ったハンバーグにー。

客:
「お肉が柔らかくて、すごくおいしい」

具がたっぷりのカニクリームコロッケ。

客:
「カニの味がしっかりして、家庭的な味ですごくおいしいです」

松本駅近くにある洋食店「盛よし」。休みの日には行列もできる人気店です。

慌ただしく調理に追われているのは、須沢洸一郎さん(22)と弟の広人さん(20)。2人は、創業者の孫にあたります。

「盛よし」3代目・須沢洸一郎さん:
「2人がおいしいと思う味をお客さまに提供できたらなと思いながら作っています」

洸一郎さんの弟・広人さん:
「さらに自分の上を目指して、おいしい料理をみんなに届けたり、それで『おいしい』と言ってくれるお客さまもたくさん来てくれる店や雰囲気にしたい」

2025年10月から、兄弟で「3代目」として歩み始めました。

■亡き母の思いを胸に 

「盛よし」は1979年にオープン。洋食メニューと松本民芸家具が並ぶ落ち着いた店内で、市民に愛されてきました。

しかし、創業者の須沢盛義さんが病気で店に立てなくなり、後を継いだ娘の忍さんも体調を崩したため、2023年3月に惜しまれながら閉店しました。

閉店から4カ月。「盛よし」のファンが社員にいた縁で、千葉県の会社が事業を引き継ぐことに。

そして、2023年8月、店は復活を果たしました。

当時、専門学校生と高校生だった須沢さん兄弟も店の手伝いに。

にぎわいが戻りましたが、兄弟の母親でもある2代目の忍さんは4月に亡くなり、その光景を見ることはありませんでした。

弟・広人さん(2023年8月):
「母親が『焼き場』をやっていたので、それを継ぐ形になってすごくうれしい。思いを受け継ぐことが親孝行かなと思います」

須沢洸一郎さん(2023年8月):
「幸せあふれる料理を届けたいなと思います」

■兄弟で店を守る覚悟

復活から約2年半。2人は今、「3代目」として店を切り盛りしています。

高校で調理を学んだ広人さんは、2024年の卒業後にすぐに店に入り、調理を担当しています。

一方、洸一郎さんは、主に接客を担いながら調理も手伝っています。専門学校卒業後に市内の別の洋食店で働いていましたが、弟と一緒に店を守りたいと2025年10月に戻りました。

「盛よし」3代目・須沢洸一郎さん:
「弟が作る料理って面白くって、みんなおいしいと言ってくれて。その料理をいろんな人に届けたいという気持ち、覚悟の上で戻ってきた」

■厨房で支え合う兄弟の連携

須沢洸一郎さん:
「沸騰しているけど(火を)止めちゃってもいい?止めなくていい?わかった」

厨房ではコミュニケーションを取りながら支え合っています。

須沢洸一郎さん:
「ソース(の残りの量)がちょっとこわい」

弟・広人さん:
「ソースはいいよ。俺、後やっとく」

須沢洸一郎さん:
「常にコミュニケーションは意識しています。コミュニケーションとらないとうまくいかない」

もちろん先代から受け継いできたレシピや調理方法は今も変わっていません。

■伝統の味と新たな挑戦

横浜から(出張で):
「薄いハンバーグとデミグラスソースがすごくおいしい。昔ながらの雰囲気もいいですよね」

市内から:
「おいしかったです、本当に。立派ですね、昔ながらの味を引き継がれていて。頑張っていただきたい、これからも」

市内から:
「手作りで手がかかっているのが分かっているので、それを続けるというのは大変だと思うので、すごいと思う」

変わらぬ味を提供する一方、新たなメニューを出すなど、自分たちの色も出そうとしています。

2025年12月から提供を始めたのがスイーツ。以前はメニューにありませんでしたが、県外からの客にもっと信州の食材を味わってもらえるようにと考えました。

■SNSも活用 知恵出し合い盛り上げ

須沢洸一郎さん:
「これどう?おいしそうに見えた」

弟・広人さん:
「それいいんじゃない」

また、SNSで店の情報発信も―。

須沢洸一郎さん:
「こういう感じで文章考えてやってます。(インスタも力入れてやっている?)もちろんです。めちゃくちゃ力入れてやってます。(配置も)めっちゃこだわってます」

弟・広人さん:
「いかにおいしく撮るか」

互いに知恵を出し合いながら店を盛り上げようとしています。

須沢洸一郎さん:
「どっちかが欠けたら、たぶん何もできないと思います。お互い持っているものと持っていないものがあって」

弟・広人さん:
「お互い足りていない。それを補う形で、補わないとできない」

■伝統を守り、新たな挑戦も

先代の頃から働いているシェフの長谷川良昭さん(62)は―。

「盛よし」で40年以上働くシェフ・長谷川良昭さん:
「覚えることはまだまだ、いっぱいあると思います。仕事も熱心にやってますしね。なので楽しみですよね、これから。おじいちゃん、先代(忍さん)の味を守りつつ、新しいこと取り入れつつ、繁盛する店でずっといてくれたら私はうれしい」

3代目として歩み出したばかりの須沢さん兄弟。互いに支え合いながら変わらぬ味と店を守っています。

「盛よし」3代目・弟・広人さん:
「皆さまから『おいしい』と言ってもらえて、努力が報われた瞬間がとてもうれしい。昔ながらの味と雰囲気、民芸家具。その3つをこれからも大事にしつつ、新しいことにも挑戦していきたい」

「盛よし」3代目・須沢洸一郎さん:
「お客さまの声や思い出を大事にしながら、新しい思い出をたくさんつくれたらいいな。そういうお店づくりをしていきたい」

長野放送
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