ガソリン元売り各社への補助金支給がきょう=19日からスタートしました。
政府がレギュラーのガソリン価格を1リットル170円に抑えることを目標に掲げる中、店頭価格への反映はどう進んでいるのでしょうか。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」(2026年3月19日放送)では、秦令欧奈アナウンサーが大阪府摂津市にあるアサダ石油から生中継で伝えました。
■他社値下げの報が届いた瞬間「空気が凍った」
取材班が16日に取材したときはレギュラーが197円/L、ハイオク208円/L、軽油184円/Lでした。
【アサダ石油・麻田義幸社長(16日)】「この会社始まって一番高いぐらい」
そして、19日午前10時時点では補助金を反映したガソリンを仕入れられていなかったため、16日と同じくレギュラー197円/Lでした。
ところがその直後、「他社がガソリン価格を値下げした」という情報がアサダ石油に飛び込んできたのです。
秦アナは現地の緊張感をこう伝えました。
【秦アナ】「他社の値下げの報が入ってその値段を皆さん見たとき、空気が凍ったといいますか、顔色が変わるという瞬間もありました」
■「赤字覚悟で、社長と相談して値下げしました」
そしてアサダ石油は、店頭価格を一律22円値下げすることを決断しました。
レギュラーは197円から175円へ、ハイオクは208円から186円へ、軽油は184円から162円へ。わずかな時間で大幅な価格変更が実施されたことになります。
この決断について、アサダ石油の麻田義治会長は次のように語ります。
【アサダ石油・麻田義治会長】「朝から周りを見ましたらかなり下がっていた。苦渋の決断で、本当は来週の月曜日からの予定でしたが、赤字覚悟で社長に相談して値下げした」
前日まで、この日に値下げする予定は「全くなかった」といいます。
まさに急転直下の判断だったのです。
■なぜ”月曜日”が本来の予定だったのか
補助金の支給は19日ですが、なぜ月曜に値下げをする予定にしていたのでしょうか?
麻田会長によると、補助金の支給が始まっても、実際に補助金が反映された仕入れ価格で石油を調達できるのは月曜日以降。
つまり今、店頭で売られているガソリンは、補助金支給前の高い価格で仕入れたものだということです。
【秦アナ】「高く仕入れたものを安く売っている?」
【アサダ石油・麻田義治会長】「赤字覚悟で売らしていただいております」
想定される赤字額は「在庫を考えると20万円ぐらいは抱えないといけない」と麻田会長は見込んでいます。
■60年以上の経験でも「初めて」の急変
麻田会長は、このガソリンスタンドに60年以上勤め、過去にはオイルショックも経験してきたベテランです。
それでも、これほど短期間でこれほど大きな価格変動が起きたことは「初めての経験」と語りました。
【アサダ石油・麻田義治会長】「本当につらいですね」
■補助金がなければ「225円前後まで上げなければいけなかった」
では、ガソリン価格は今後、レギュラー1リットルあたり170円台で価格は落ち着くのでしょうか。
麻田会長は「高市首相が170円にしたいという希望も述べられたので」と前置きしつつ、こう明かしました。
【アサダ石油・麻田義治会長】「本来なら今日の補助金がなければ、今週も”値上げ”の予定でした。たぶん20円以上。店頭価格は225円前後まで上げなければいけなかったかもしれません」
いまの170円台は「国のおかげ」だと語る一方、「いつ収束するか」という不安は続いています。
「早く収束していただいて、安定してもらうのが一番ありがたい」と話しました。
■「なぜ赤字でも値下げするのか」
スタジオでは関西テレビの神崎博報道デスクが、ガソリンスタンドが置かれた厳しい競争環境の構造をこう解説しました。
【関西テレビ・神崎博報道デスク】「高いままだと他の店にお客さんが流れたりとか、下がるまで待とうという買い控えが起きたりする。
そうなると、いつまでたっても在庫がはけなくなってしまう。仕方なく赤字覚悟で周りの安いお店に合わせて下げて、まず在庫をはけさせて、新しい仕入れ分から補助金が乗ってくるので、そこで商売しようという考え」
■物価への波及も懸念
タレントの北斗晶さんはさらに、ガソリン価格の影響が食卓にまで及ぶことへの懸念も口にしました。
【北斗晶さん】「ガソリンって車だけじゃないじゃないですか。配達とか。そうすると今度、野菜とかいろんな果物。そこの物価もどうなっていくのかなっていう心配はありますね」
補助金によってレギュラーガソリンはひとまず170円台に落ち着きましたが、そのコストをガソリンスタンド側が赤字として引き受けている現実があります。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年3月19日放送)