16年前、神戸市の路上で殺害された男子高校生・堤将太さん(当時16歳)の遺族が、事件当時17歳だった加害者とその両親に損害賠償を求めた裁判。
神戸地方裁判所は、加害者におよそ9600万円の支払いを命じる一方、両親に対する賠償責任については遺族の訴えを退けました。
【将太さんの父・堤敏さん】「どんな判決が出ても僕らの(犯人逮捕までの)11年の痛みって言うのは解消されへんし、癒されるものでもない。今後も続いていく」
判決が言い渡された直後、堤将太さんの父・敏さんは事件から続く苦しみを語りました。
■殺害された堤将太さん 加害者の元少年(33)は懲役18年・服役中
2010年、神戸市北区の路上で当時、高校2年生だった堤将太さんは、ナイフで何度も刺され、殺害されました。
遺族は情報提供を求め続け、事件からおよそ11年後、警察は当時17歳だった元少年(33)を逮捕。
元少年は刑事裁判で懲役18年の刑が確定し、服役しています。
また、刑事裁判を経て元少年にはおよそ9300万円の賠償が命じられましたが、元少年は不服を申し立てていました。
■将太さんの父・敏さん「お金を求めているわけじゃない」
【堤将太さんの父・敏さん】「お金を求めているわけじゃない。その責任をちゃんと果たしなさい、と」
堤さんの遺族は、元少年の両親が息子の暴力傾向を認識しながら指導を怠ったほか、犯人であると知りながら、事件の2日後に千葉県に転居させ、発覚を遅らせたことなどの責任を問いたいと提訴。
元少年とその両親に、あわせておよそ1億5000万円の損害賠償を求めました。
裁判で元少年の母親は、事件当時のことを次のように語りました。
【元少年の母親】「『人を刺したかもしれない。混乱して分からない』って自分で言いました。事件を目撃して混乱しているのではないかと思いました」
両親は、息子が犯人とは思わなかったとし、転居と事件との関連性を否定。
監督責任についても、相当の義務は果たしていると主張しました。
■判決は「犯行を確定的に認識していたとまでは言えない」など親の責任認めず
そしてきょう(19日)の判決で神戸地裁(島戸真裁判長)は、元少年に対し、刑事裁判を経て命じられた賠償額に、堤さんの兄弟3人に対する慰謝料など330万円を上乗せした、あわせておよそ9600万円の支払いを命じました。
一方で、両親については、関与を疑いながら転居したのは、客観的にみると、逃亡に寄与したといえるものの「犯行を確定的に認識していたとまでは言えない」と指摘。
そして、事件前、元少年に精神科を受診させるなどし監督義務違反があったとはいえないと遺族の訴えを退けました。
■堤さんの父・敏さん「納得は全く行きません」
【将太さんの父・堤敏さん】「納得は全く行きません。取り返しのつかないことをやらかしてしまったという意識が全く無いように思う。
そこを理解させるために(両親にも)『責任はどうあれ、ありますよ』という判決が欲しい」
遺族は、判決内容を精査して今後の対応を決めるとしています。
■菊地弁護士「ご遺族の気持ちを考えると承服が難しい案件」
今回の裁判では、事件の2日後に転居し、『自分が犯人かもしれない』ということを加害者が家族に伝えていたことが法廷で語られました。その上で裁判所は両親の責任について、賠償責任がないという判断を下しました。
菊地幸夫弁護士は、法律の規定などを指摘しつつ、遺族は承服しがたい判断だと指摘しました。
【菊地幸夫弁護士】「罪を犯した人をかくまうことは、犯罪になります。ところがかくまった相手が、自分の親族だった場合というのは、刑は免除されます。
今回は民事裁判ですが。犯罪の方で『刑の免除』なものを民事では『損害賠償ですよ』と認めると、ペナルティがバラバラになってしまう。それへの配慮も、判決は指摘しています。
また犯行当時17歳でしたら、基本的には親は責任を負わないのが原則で、監督義務違反があった場合は責任があるのですが、今回は認められなかった。
ただご遺族の気持ちを考えると、いずれの判断についてもなかなか承服が難しい案件だと思います」
【吉原功兼キャスター】「ご遺族とすると、加害者が事件から11年間名乗り出ることはなかった。一日一日大変苦しい思いをされてきたという中で、その11年間というのが責任が問われるべきではないかというふうに訴えていらっしゃいます」
(関西テレビ「newsランナー」2026年3月19日放送)