広島県全体で人口流出が続く中、廿日市市は11年連続で転入者が転出者を上回った。子育て支援や大型商業施設が充実した“暮らしやすい環境”を背景に、子育て世代を中心に選ばれる街となっている。
県内で際立つ廿日市市の人口増
総務省がまとめた2025年の人口移動報告で、広島県は9921人の転出超過となり、5年連続で全国最多となった。
一方、廿日市市は転出した人の数よりも転入してきた人の数が「75人」上回り、11年連続の「転入超過」を維持した。世界遺産・宮島を擁し、海と山の自然に囲まれた廿日市市。年齢別では、0歳~4歳の子どもと30代の転入が多く、子育て世代の流入が目立っている。
「転入してよかった」暮らしやすさ実感
広島市から転入し、廿日市市でマイホームを購入した市民は、「正直、子育てによい地域というのを知らなくて、入ってきてからいろいろ知ったので、移ってきてよかったなと思う」と話す。
また、公園で子どもを遊ばせていた廿日市市民は、「一番いいのは保育園料が1人目から半額」と子育て支援策を評価。その話を聞き、愛知県から帰省中の母親は「え、それはすごい!」と驚いていた。
さらに、その市民は続ける。
「私も廿日市市出身だが、一度広島市に住んで、また廿日市に戻ってきた。子どもへの手当てがいいので戻ってよかったと思います。結構、子育てのしやすさで廿日市に来たというのを聞きますね」
生まれた時からずっと廿日市市に住む人も、「都会過ぎず田舎過ぎず住みやすいところ。買い物も廿日市で済むし、人もごみごみしていなくて」と、暮らしやすさを語る。
廿日市市民からは「子育て政策の充実」と「大型商業施設の存在」を評価する声が多く聞かれた。
第1子保育料半額、給食費も恒久無償化
県全体の「転出超過」が大きな話題となる一方で、廿日市市は0歳~2歳の第1子保育料半額や病児保育利用料の無償化に加え、2026年4月から小学校給食費を恒久的に無償化するなど、子育て支援を手厚くしてきた。
松本太郎市長は2024年の取材時、「街づくりは総合評価ですから、バランスよくやっていくことが重要。いま廿日市市が目指すべきターゲットは子育て世代だと考えています」と語っていた。若い世代に選ばれる街づくりは、着実に成果として表れ始めている。
廿日市市子育て応援室の山下治子室長は、「児童館の施設も少しずつですが市民の声を反映し、充実してきた。小さい積み重ねが転入超過につながっているんじゃないか」と分析する。
市外から新たな拠点として廿日市市を選ぶのは、子育て世代だけではない。人口増加は、新たな医療機関の進出にもつながっている。
5月1日、廿日市市平良山手に開業した「廿日市駅前きだにクリニック」。最新の機器を備え、高度な医療を提供する。木谷尚哉院長は「人口の増加は大きいポイント。脳神経領域のクリニックが不足していると聞き、廿日市にご縁もあって開業した」と話す。
子育て支援、生活利便性、都市と自然のバランスを武器に“選ばれる街”として存在感を高める廿日市市。転入超過の傾向をさらに深く分析し、今後につなげていくとしている。
(テレビ新広島)
