冬眠から目覚めたクマが活動を始める季節ですが、猟友会のトップから出たのは「駆除から外してもらいたい」という発言。

 出没が増えるシーズンを前に、その本音に迫りました。

 札幌市は冬眠から目覚めた人里近くに住むクマを駆除する「春期管理捕獲」を始めました。

 市街地での出没を減らすことなどが目的です。

 根室市などでは既に活動を始めたクマの姿も目撃されています。

 2025年はクマの出没が相次ぎました。

 クマの目撃に関する通報は5000件を超え、2025年度1月までの捕獲数は2000頭以上。

 いずれも過去最多を記録しています。

 そんなさなか、2025年11月に開かれた「ヒグマ対策推進会議」でこんな発言が。

 「クマの駆除から猟友会を外してもらいたいと言いたい。警察や自衛隊に対応してもらえればいい」(北海道猟友会 堀江篤会長)

 会員数約5700人の北海道猟友会トップから飛び出した撤退発言。

 会議の場に緊張が走りました。

 その真意はどこにあるのか。

 北見市の堀江篤会長を訪ねました。

 「いきなりトップダウンで警察官にライフルを持たせる、自衛隊にお願いすると。猟友会そっちのけで、どんどん進んでいるような感じだから、それではそれでやりなさいと。われわれはそこから外してもらいたいという気持ちだったんです」(堀江会長)

 保険の代理店を営みながら北海道猟友会の会長を務める堀江さん。

 ハンター歴55年のベテランです。

 堀江さんが危惧しているのは、国レベルで進められている「ガバメントハンター」の制度についてです。

 クマによる被害が多発する中、国が打ち出したのが狩猟免許を持つ公務員「ガバメントハンター」の拡充です。

 退職した警察官や自衛官を自治体が雇用し、人材確保につなげるというものですが。

 「雲をつかむような話だ。その場しのぎのように自衛官や警察官を一時的に雇うだとか、そんないい加減な雇い方でいいのか」(堀江会長)

 堀江さんによりますと、銃を扱った経験がある人でも実際にクマを撃つのは簡単ではないといいます。

 「止まっているものと動いているもので違う。クマは襲って来る。手前まで来る、もう2~3メートルまで。その時まで待って撃てるかですよ。それだけの度胸があるかだ」(堀江会長)

 堀江さんはガバメントハンターの拡充には賛成ですが、その制度の運用に疑問を感じているのです。

 「基本的には自衛官、警察官のOBという話が出ています。すると60歳を超えていますよね。健康状態は山道などを歩けるのか。銃を持って撃つ経験があるのか。その訓練を毎日のようにやっていければいいんですが、たまにしか訓練しないなら初心者と同じです」(堀江会長)

 堀江さんは初心者がクマを撃てるまでには10年以上かかるといいます。

 若い世代を雇用し、訓練を重ねて専門職となっていくことが、その場しのぎではない持続的な制度になるというのです。

 「クマの有害駆除は国でやってほしいというのが、前からの僕の希望だったんですよ。ただ、どうしても一般市民がわれわれに期待をしている。それを裏切るわけにはいかないから、ガバメントハンターの教育や訓練には協力するという話は最初から言ってきたんです」(堀江会長)

 北海道によると、1962年度から2024年度までにクマに襲われ死傷したのは177人でした。

 そのうち狩猟や駆除の際に反撃されたケースが66人で最も多いといいます。

 危険と隣り合わせの最前線に立つ猟友会。

 堀江さんは本格的なガバメントハンター制度の確立を何より願っています。

 そのための協力も惜しまないといいます。

 その上で…。

 「僕は言ってるんですよ、もう普通のハンターに戻りたいって」(堀江会長)

 その場しのぎではない、持続可能なガバメントハンターの制度はできるのでしょうか。

北海道文化放送
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