緊迫するイラン情勢に伴う原油価格の上昇を受けてガソリン価格は急騰し、私たちの生活への影響は日に日に大きくなっています。
そうした中、政府が16日に始めた石油備蓄の放出で価格は下がるのでしょうか。
福岡への影響を取材しました。
15日のニューヨーク市場は、国際取引の指標となる先物価格が一時1バレル=102ドル台まで上昇しました。
原油価格の高騰が続く中、政府は16日、民間備蓄の放出を始めました。
ホルムズ海峡を通って日本に来るタンカーは20日ごろから大幅に減るおそれがあり、政府は民間備蓄15日分を放出したあと国家備蓄を1カ月分放出し、安定供給につなげたい考えです。
こうした中すでに、福岡県内のガソリンの価格は急騰しています。
◆記者リポート
「こちらのガソリンスタンド、レギュラーガソリンの価格が200円を超えています。税込み価格は237円です」
直方市のこちらのガソリンスタンドでは13日、レギュラーガソリンがついに大台の200円を突破しました。
こうした急激なガソリン価格の高騰に頭を抱えているのは、県内の事業者です。
久山町の昴交通は主にインバウンド向けの観光バスを運行しています。
会社では小型から大型まで38台のバスを保有していて、多い月では5万リットルもの軽油を使用します。
◆昴交通 総括運行管理者 江頭謙造さん
「(軽油代は)月500万円前後くらい。いまの単価で。いまどんどん上がっているのでちょっと怖い」
給油に同行させてもらうと、軽油価格はなんと数日で30円もあがっているといいます。
◆ガソリンスタンドのスタッフ
「この業界は長いが短期間で30円上がるというのは聞いたことない」
スタンドのスタッフも経験したことのない値上がりに会社は…。
◆昴交通 総括運行管理者 江頭謙造さん
「(軽油代が現在の月500万円から)600、700…600万円は超える」
Q.この100万円増をどう見る?
「辛抱するしかない、企業努力で」
コロナ禍以降、慢性的な運転手不足も続いていて、人件費も削ることはできないといいます。
◆昴交通 総括運行管理者 江頭謙造さん
「バス会社だけでなく運送関係、このままずっと(燃料代が)上がりっぱなしの状態だったら倒産する会社が増えてくる。そこら辺を政府に考えてもらいたい」
一方、燃料費の高騰はこんなところにも…。
◆記者リポート
「こちらの米穀店、さまざまな産地のコメが並びフォークリフトで移動しています」
熊本県産や新潟県産などのコメを扱うこの業者。
コメを熊本県などに直接買い付けに行くほか、一般家庭への配達も請け負うなど、ガソリン価格の高騰で輸送コストが上がっているといいます。
さらに従業員が手にしているのは、精米したコメを入れるための袋です。
こちらも値上げが避けられないと言います。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「1枚当たり70円~100円くらいします。今後も燃料費が上がっているから、値上げが予想されています」
原油価格の高騰を受けて袋の原料価格も高騰し、1枚あたり30円ほどの値上がりが予想されているといいます。
徐々に落ち着きつつあった「令和のコメ騒動」の先に待っていた、今回の原油の価格高騰に頭を悩ませています。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「先月末に値下げして販売を始めたところなんですが、ガソリンの急激な値上がりで、経費もだいぶ上がっている。客のことを考えるとなかなか値上げも難しいので、現状この値段で頑張っていくしかないと思っています」
混迷を極める中東情勢のなかで荒い値動きが続く原油価格。
備蓄放出の一手がどれほどの効果を上げるのか行方が注目されます。
補助金でガソリン店頭価格は下がる方向へ
政府の対応には、備蓄の放出と補助金があります。
石油の元売り各社に対する補助金が19日に再開されることになっていて、これによってレギュラーガソリンの全国平均小売価格を1リットルあたり170円程度に抑えるということです。
福岡県石油商業組合の中村専務理事によると「早ければ今週末ごろから店頭価格が下がり始めるだろう」とのことです。
ただ、ガソリンスタンドによっては元売りから高値で仕入れた在庫が残っているので、店頭価格が下がるタイミングはバラつきがあるということです。