東日本大震災から15年が経ち、次の地震にも目を向けなければなりません。次に宮城県に大きな影響を及ぼす可能性のある地震について専門家に聞きました。
去年12月、青森県東方沖で発生した、マグニチュード7.5の地震。巨大地震発生の確率が高まり、一時、緊張が走りました。
青森県東方沖を含む日本海溝・千島海溝一帯は、陸と海、2つのプレートの境界にあたり、大きな地震が繰り返し発生する地震の多発地帯です。
政府の地震調査委員会は、防災対策の一環として、このエリアの地震について、想定される規模や発生確率を算出し、毎年公表しています。
地震調査委員会の委員を務める、東北大学大学院・日野亮太教授です。日野教授は、その中で、宮城県において、特にリスクの高い地震が3つ存在すると指摘します。
その一つ目は…
日野亮太教授
「これは、やっぱり、皆さんが一番耳馴染みがある宮城県沖地震だろうと思います」
宮城県沖地震とは、宮城県沖の陸寄りのエリアで繰り返し発生する地震です。
平均発生間隔は、およそ38年。地震の規模はマグニチュード7.4前後と想定されています。
海側の太平洋プレートに引きずり込まれた陸のプレートが、ひずみに耐え切れずに跳ね上がる、プレート境界地震の一つです。
日野亮太教授
「注目されるようになったきっかけは1978年の地震で…ブロック塀が倒れた所で人が亡くなったりとか、断水が長引いて市民生活に大きな影響が出たとか、いろんなインパクトがあった」
その後、2005年に1回、そして2011年の東日本大震災でも、このエリアを巻き込む地震が起きたため、直近の地震からは、今年で15年です。平均発生間隔には達していませんが、震災後に起きている「ある現象」が、影響を及ぼす可能性があるといいます。
それが…「余効すべり」。
「余効すべり」とは、大規模なプレート境界地震のあと、陸のプレートが揺れを伴わずにゆっくりと滑り続ける現象です。この現象が、震災後、東北地方の沖合で起こっています。
しかし、宮城県沖では…
日野亮太教授
「私たちがいま気にしている宮城県沖地震の震源域が、およそこのへん。ここの部分は、逆に言うと、余効すべりから取り残されてしまっている形になります」
図の赤い部分では、余効すべりによって、プレートがゆっくりと東へ動いています。
一方、宮城県沖は、余効すべりが起こらず、プレートが固着しているため、周りの動きに引っ張られ、地震が起きやすくなっているといいます。
日野亮太教授
「結果として、こうした余効すべりが、次に起こるはずの宮城県沖地震の発生時期を早めてしまう可能性があると、私たちは心配しています」
地震の揺れについては…
日野亮太教授
「おそらく、震度5強程度が、仙台市を中心に、けっこう広い範囲で起こるだろうと思います。揺れの被害ですね。そこが少し心配されるところかなと思います」
そして、強い揺れを伴うもう一つの地震が…
日野亮太教授
「沈み込んでいる太平洋プレートの中でも地震が起こります」
それが「プレート内地震」です。プレートの内部にある断層に力が加わり、ずれ動くことで発生する地震で、震災後、力のバランスが崩れたことにより、起こりやすくなっているといいます。
記憶に新しいのが、2021年と22年、福島県沖で発生した、マグニチュード7を超える地震です。
宮城県内では、震度5弱から6強の強い揺れが観測され、22年の地震では、東北新幹線が脱線するなどの被害が出ました。
日野亮太教授
「プレート内地震というのは短周期の揺れ。カタカタという揺れですね。ゆっさゆっさではなく、カタカタという揺れを強く出します。かたい、しっかり建てた建造物に、かえって強い衝撃を与えることになるんですね。新幹線の橋脚のように、丈夫に造っていたはずのものが壊れてしまうということがあります」
プレート内地震で懸念されているのが、宮城県付近の断層です。福島県沖で地震を起こした断層と、震災直後の4月に宮城県北部の沖合でプレート内地震を起こした断層との間に、まだ壊れていない断層があるとされているのです。
日野亮太教授
「そこの断層がもし壊れたら、またマグニチュード7相当の地震になりかねない。宮城県の本当に真正面ですから、また大きなインパクトが起きる可能性があるという点で、無視するべきではないリスクの一つだと思います」
そして、3つ目は、これら2つとは異なるリスク。千島海溝超巨大地震です。
日野亮太教授
「去年の12月8日に、青森県東方沖で地震があった後で、後発地震注意情報が出て、皆さん記憶があると思いますが、後発地震注意情報を整備する一つの背景になっているのは、三陸沖北部および、北海道の太平洋側ですね。超巨大地震が起こる」
北海道の南に延びる千島海溝。ここでは、津波堆積物の調査から、マグニチュード9クラスの超巨大地震が、およそ400年間隔で発生していると考えられています。
そして、17世紀に発生したとされる前回の地震から、すでに400年が経過しているのです。
先日、東北大学は、5年間にわたる地殻変動の観測から、千島海溝沿いのプレートで、地震を起こす「ひずみ」が蓄積しているという調査結果を発表しました。
これは、超巨大地震が切迫している可能性を、科学的に裏付けるものです。
日野亮太教授
「それらは、東日本大震災と同様に、非常に大きい範囲で断層運動があって、それが海溝軸に近い所まで及ぶことによって、非常に高い津波を起こしてしまうということが懸念されています」
国は、千島海溝の超巨大地震を想定し、揺れの強さや津波の高さを、シミュレーションにより算出しています。
それによると、宮城県では、揺れは震度3以下にとどまるものの、津波の高さは、高い所で10メートルを超えると予想されています。
日野亮太教授
「2011年と同程度くらいの津波が来てしまう可能性があるという意味で、これも忘れてはいけない地震になると思います」
最後に、日野教授は、日頃の備えの徹底を呼びかけます。
日野亮太教授
「揺れが来た時に大丈夫な備えはされていますか、あるいは揺れが去った後に、本当に復興するまでの生活を、せめて自分で自分の身を守る程度の準備はできていますか、本当に尽くされていることを、改めて考慮に入れていただくことが大事だと思います」