保護されたウミガメ「リブ」

兵庫・神戸市の須磨海浜水族園。約600種を飼育する兵庫県内最大の水族館。

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水族館裏手にある水槽にいたのは、2020年8月、島根・隠岐の島町の海岸に流れつき、住民が保護したアカウミガメ。

「生きる希望」という意味をこめて「リブ」と名づけられた。

水族館に移され順調に回復

保護されたものの長い間網にからまっていたことで、右の前足が壊死。

このため、ウミガメの飼育実績が豊富な神戸市の須磨海浜水族園に隠岐から移送され、治療が続いている。 

須磨海浜水族園・礒部雄太さん:
リブのエサは1日1kg。欠損部分の血液を補うために魚はほかのウミガメに比べて多めに用意している

引っ越しから約2週間たち、ほかのカメの2倍のエサを食べるほど元気になった。 
22日には精密検査があった。 

須磨海浜水族園・礒部雄太さん:
70.4kg。こっちにきた時は68.6kgだったので、2週間で2kg増えている

採血では、飼育員が手こずるほどの力強さを見せた。骨にも異常はなく、順調に回復しているという。
一方で、向き合わなければならないのが…

須磨海浜水族園・須藤翼さん: 
人間でいうと前腕骨の途中からなくなっている 

失ってしまった右の前足。
海に戻すうえで最も大きな課題。

独自の泳ぎ方を習得!?

普通のウミガメは泳ぐ時に後ろ足はほとんど使わず、2つの前足で水中を自由に泳ぐ。

一方、左の前足しかないリブは、まだうまく泳ぐことがでない。
海に戻しても溺れてしまうおそれがある。

ただ、治療を続ける中、必死に泳ごうとするリブにある変化が見られた。 

須磨海浜水族園・礒部雄太さん:
左の前足と右の後ろ足を使って泳いでいる。リブ自身が片足がないことを理解して自分の行動を変化させているものだと思う

独自の泳ぎ方を習得しようとしていた。

水族館によると、これまでも前足を失ったウミガメが普段使わない後ろ足を駆使して泳げるようになったのが確認されていて、リハビリを続けることで海で泳ぐことも十分に可能だという。 

須磨海浜水族園 飼育員・礒部雄太さん:
隠岐の島の人たちの気持ちがこもったリブなので、われわれも一生懸命応えられるように努力していきたいと思う

隠岐の島民との再会、そして海で自由に泳げる日を目指してリブのリハビリは続く。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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