春まで続くスキーシーズン。冬季五輪で注目が集まり、駆け込み需要が増える中、ゲレンデでは事故やトラブルが全国で相次いで発生しています。

そこに現れるのが、ゲレンデパトロール隊です。奮闘するゲレンデパトロール隊に密着しました。

■初心者客の増加で相次ぐ事故やトラブル

滋賀県米原市のスキー場、グランスノー奥伊吹。大阪や京都からのアクセスが良く、雪も豊富で、1日最大7000人が訪れる西日本屈指のスキー場です。

ここを守るのが、「グランスノー奥伊吹パトロール隊」です。

「はい、パトロール本部です」

本部に入った緊急の連絡。パトロール中の隊員につなぎます。隊員が現場へ急行すると、そこにはうずくまる人の姿がありました。

男性はネパール出身で、足を曲げられないと痛みを訴えていました。この日が初めてのスキー。コース上で座っていたところ、後ろから衝突されました。

【隊員】「曲げれない?オッケー。曲げんでええ」

救護所に運ばれた男性は、「助けてもらって心の中からありがとうと言います」と感謝を述べました。


■『板流し』事故の恐怖

パトロール中には、こんなヒヤっとした場面も。

【隊員】「流れてるよー!」

スノーボードだけが猛スピードで斜面を滑り、下にいた人に衝突しました。斜面でスノーボードを外したり、正しく置かなかったことで発生する『板流し』です。

【隊員】「あかんで。人殺すよ」

こうした初歩的なミスによる事故が相次ぐ背景にあるのは、雪に不慣れな外国人客や、全体の7割を占める初心者の客の増加です。

【隊員】「板を上から離してしまって、『板流し』が起きる。これが一番危ないんです。今実際、当たって軽傷で済んでるんですけど、当たりどころによっては人の命に関わるんで、スノーボードの板は絶対持っておく。これは絶対」

■スマホの落とし物は1シーズンにおよそ500件 雪解けまで待ってもらうことも

さらに、パトロール隊はこんな任務もあります。

【隊員】「一緒にリフトに乗って、ここって教えてください」

女性が落としたのはスマートフォン。パトロール隊が探します。

スマホの落とし物は、その数は1シーズンにおよそ500件。リフト上での操作や、開いたままのポケットなど、些細な油断が原因です。

果たしてスマホは見つかったのでしょうか。

【隊員】「スマホ落とされたのが先週の日曜日。それを探しに来はったんですけど、先週の日曜日だと雪降ってたので、その降雪で見えなくなっちゃって。お客様に諦めていただいて、春の雪解けまで待ってもらう説明をしました」

■立ち入り禁止エリアへの侵入が問題に 全国でも死亡事故が多発

隊長が今最も警告したいこと、それは立ち入り禁止エリアへの侵入です。

【茂木翔平隊長】「立ち入り禁止エリア内のロープやポールを越えて、新雪のパウダースノーに入っていくお客様っていうのが一定数います」

スキー場の立ち入り禁止区域は、パトロール隊がくまなく見回り、危険と判断した場所。そこを滑ると遭難や雪崩のリスクが高いものの、侵入する客が後を絶たないのです。

【茂木翔平隊長】「ルール違反をするお客様に対しては厳格に(救助費用を)請求させていただきます。ほかのお客様であったり、私たち自身に対してのリスクを負わせてしまっているところに対しては、責任をちゃんと負っていただきたい」

立ち入り禁止エリアでの死亡事故は、全国でも複数起きていて問題になっています。

■川の下に落ちた大学生「なぜここにいるのかわからない」

この日、川の下に落ちた人がいるとの通報が入りました。急いで現場に向かいます。

スキー場でコースのネットを突き抜け、男性が川の下に落ちたという通報が入り、パトロール隊が現場に駆けつけます。

【茂木隊長】「けがなしなんで、単純な引き上げです」

ところが、立ち上がると足元がおぼつかない男性。さらに記憶が曖昧な様子でした。

【隊員】「今日はどこから来ましたか?」
【男性】「住んでる場所は分かるんですけど」

【隊員】「今日何で来ました?」
【男性】「分からないです。なんで僕がここに来ているのか」

【隊員】「ここの場所どこか分かりますか」
【男性】「いや、分からないです。どこかのスキー場」

「なぜここにいるか分からない」と、記憶が曖昧な様子の男性。

【隊員】「ニット帽だけでしたし、下も雪ですけど硬いんで、衝撃でバンってやられて、脳しんとう疑いかなっていう初見」

男性はスキー初心者の大学生。ヘルメットはかぶっていませんでした。

【男性】「夢か現実に起きたことか、あんまり区別がつかない」

事情を説明するため、親に連絡します。

【男性】「ちょっと記憶が飛んでたりはするかな…。ごめんなさい。ありがとう」

外傷はないものの、最後までなぜここにいるのかすら思い出せず。パトロール隊は救急車を呼ぶ決断を下しました。

■パトロール隊が“一番目立たない”スキー場を目指して

25人のパトロール隊を率いる隊長。なぜここまでするのでしょうか。

【茂木翔平隊長】「初級者の方に限りなく寄り添うために、私含めて全スタッフ動いてます。スノースポーツ人口が減ってきてる中で、今回オリンピックがあったりして、盛り上がってますし、これをきっかけに、スノーボード、スキーをやってみようっていう方が少しでも増えていくと、私たちもやってる側としてすごくうれしいので」

今後、パトロール隊が目指すスキー場とは…

【茂木翔平隊長】「お客様がけがしないように、トラブルが起きないように、そういったことを未然に防いで、その中で優雅に滑られるのが、本来パトロールのあるべき姿。本当に裏方なので、そこを目指してますね。私たちが一番目立たないスキー場を」

ゲレンデパトロール隊の奮闘は続きます。

関西テレビ
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