創作ダンスに込めた「優しさ」と「余裕」――生徒たちのステージが、観客の心を揺さぶった。

6月4日、鹿児島市のカクイックス交流センターで県高校総体のダンス競技が開催された。離島を含む16校が出場し、4分10秒の持ち時間の中で創作ダンスを披露。テーマ設定から振り付け、音楽・照明・衣装にいたるまで、すべてを生徒自身が手がける本格的な競技だ。各校の個性が色濃く表れた熱演の末、最優秀賞に輝いたのは国分中央高校。8月に兵庫県で行われる全国大会への出場も決めた。

強豪・国分中央が選んだテーマは「よだかの星」

2025年の全国大会に出場し入賞を果たしている強豪、国分中央高校。今回のテーマに選んだのは、宮沢賢治の小説『よだかの星』だ。見た目で差別を受けながらも、自らを燃やして誰かに優しさを届けようとする主人公の物語を、ダンスという表現で舞台に乗せた。

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キャプテンの岩下日向さんは本番前の心境をこう語った。

「『よだかの星』は、見た目で差別されながらも自分を燃やして誰かに優しさを届けたい(という話)。正直、プレッシャーも大きかったが自分たちなりの表現が今年はすごくできているので、重く考えずに、自分たちの作品に集中して踊ることができた」

前回大会での経験と実績を持ちながらも、「重く考えずに」と自らに言い聞かせながら臨んだ姿勢が、最優秀賞という結果につながった。

真っ赤な衣装で海の世界を表現した鹿児島中央高校

鹿児島中央高校が披露したのは、海の中の世界をテーマにした作品だ。真っ赤な衣装がステージに鮮やかに映え、魚の動きやきらめくうろこを表現。息の合ったなめらかな動きで会場を魅了した。

キャプテンの奥園あおいさんは、「海の中で魚となって、色々な経験をして最後はみんなで一つになっていくことを表現。一番はみんなで楽しく踊り切ることを意識した」と話した。

チームとしての一体感を大切にしながら、最後まで笑顔で踊り切る――その姿勢が、観客にも伝わるパフォーマンスとなった。

お茶で「一息」を表現した鹿児島南高校のユニークな発想

ユニークな発想で注目を集めたのが鹿児島南高校だ。テーマに選んだのは、県内で盛り上がりを見せているお茶。お茶を飲むような動きを取り入れながら、衣装を使って大きな急須を表現するなど、遊び心あふれるパフォーマンスを披露した。

キャプテンの山口ひかりさんは作品に込めた思いをこう明かした。

「テストや家事、仕事などみんなせかせかしながら生きていると感じて、お茶を一杯飲んで心の余裕を持って行動できたら、一息ついて、また頑張ろうと思えるのではないかとみんなで思いを込めて作品にした」

日常に寄り添うテーマ設定は、観る側にとっても共感を呼ぶものだった。

ライバルの良さを探す「一言メモ」という取り組み

競技の合間、出場した高校生たちが客席でメモを取る姿が目についた。確認すると、書いていたのは「一言メモ」。他のチームの良かった点を言葉にして残す取り組みだ。

これは高校生たちに「鑑賞力」を身につけてもらうための活動で、ライバルのいい所を積極的に探すことが目的とされている。出場者からは「客観的に見るのはなかなか難しいので、文章で見ることができてすごくいい」という声も上がった。

競い合うだけでなく、互いの表現を認め学び合う文化が、鹿児島の高校ダンス界に根付いていることがわかる。

全国大会へ 思いをつないだステージ

音楽・照明・衣装・振り付けのすべてを自分たちの手で作り上げ、4分10秒という限られた時間の中に思いを凝縮させた各校の生徒たち。そのひとつひとつのステージが、観る者の心に響いた大会となった。

最優秀賞を手にした国分中央高校は、8月に兵庫県で開催される全国大会への切符を掴んだ。『よだかの星』に込めた「誰かに優しさを届けたい」というメッセージを、今度は全国の舞台で届ける。

【動画で見る▶鹿児島県高校総体ダンス 16校が創作ダンス披露 最優秀賞は国分中央高校「よだかの星」 】