秋田県男鹿市の船川にかつてのにぎわいを取り戻そうと、新たなイベントの立ち上げやカフェの経営などに乗り出した3人の男性がいます。年齢も職業も違う3人ですが、男鹿の持つ魅力をPRしようと、それぞれが持つ力をフル活用しています。

男鹿市船川の中心部にある「TOMOSU CAFE(ともす・カフェ)」。その名の通り、街に新しい明かりを灯したいと6年前にオープンしました。

このカフェを立ち上げたのは、男鹿市出身の3人の男性です。

「男鹿は、幼少期は何もない場所だと思っていたが、今は色々なものがありすぎて困る最高な場所」と話すのは、店を立ち上げた1人の福島智哉さん(42)。

実家は船川で100年以上続く精肉店です。大学進学を機に上京し、東京の食品会社で働いていましたが、自分らしい暮らしを求めて17年前に男鹿にUターンしてきました。

「日常はすごく豊かなのに、自己アピールが下手で、不器用なかわいさがある場所が男鹿」と話すのは、アパレル用品のデザインを手がける船木一人さん(45)。

かつては都内でブランドの立ち上げを目指して活動していましたが、2011年の東日本大震災と妻の出産をきっかけに将来を見つめ直すようになり、14年前にUターンしました。今は男鹿市でアパレルブランドを立ち上げています。

「男鹿は、山や海など普段行ける場所が美しい場所」と話すのは、10年以上研究したというドリップ技術でコーヒーを入れる佐藤毅さん(51)。

2009年に市内の五里合でコーヒー専門店をオープンさせていて、一杯一杯丹精込めて入れたコーヒーは人気を集めています。

しかし、県内有数の観光地である男鹿市でも、少子高齢化が進み、街のにぎわいは年々なくなりつつあります。

船木一人さん:
「大人になって男鹿に帰った時に、結構寂しくなっていて、人もいないし子供もいないし、寂しいなと思った。『男鹿に何かがあればいい』とみんな言う割に、何も変わらないと感じていた」

3人は、地元の人だけではなく観光で訪れた人も、誰もが交流できる場所を作ろうと、男鹿の魅力を発信する拠点として「TOMOSU CAFE」を立ち上げました。

空きビルを改修した店では、福島さんの精肉店の肉を使った料理を提供しているほか、コーヒーは佐藤さんが指導したスタッフが、一杯一杯丁寧にドリップしています。

また、店のエプロンのデザインは船木さんが担当していて、3人がそれぞれの経験を生かしたカフェが生まれました。

オープン当初はコロナ禍で、来客がない時もありましたが、徐々に客足も伸び、いまでは観光客を含め市外からの客も増えてきています。

3人はカフェにとどまらず、地域のイベントも企画しています。

「船川にもう一度日の目を当てる」という思いを込めた「FUNAKAWAひのめ市」には、4年間で約3500人が来場し、大きな反響がありました。

福島智哉さん:
「とても忙しくて楽しくて、イベントの時は自分は何を見ていたんだろうという一日。地元の人に、泣きながら『ありがとう』と言われた。イベントをやってくれてありがとうと」

挑戦は、農業の分野にも及んでいます。有機栽培農家を増やそうと「オーガニック」と「男鹿に生きる」などの意味を合わせ、「オガニック農業推進協議会」を立ち上げました。

今は、地元農家と協力してコメや大豆などを生産していて、食材はカフェで提供するほか、将来的には有機栽培で育てた作物を地域の特産品にしたいと考えています。

カフェを中心に様々な分野に進出している3人。まだまだ夢は広がるばかりです。

佐藤毅さん:
「山をベースに生きていく・仕事していくような若い世代が増えていけばいいと思う」

船木一人さん:
「若い人たちが大きなリスクを取って何かをするというよりは、シェアできるものはシェアして、『男鹿で何かをやってみたい』ということをどんどん応援していくような土壌ができればいい」

福島智哉さん:
「挑戦したり、わくわくすることは大人になるとなくなっていく人が多く、同世代にもそのような大人がいるため、『またやるぞ』というわくわくするかっこいい大人を増やしたい」

3人が男鹿の街にどんな明かりを灯すのか。今後も目が離せません。

秋田テレビ
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