去年の3月11日、宮城県石巻市で行われた追悼式典の様子です。この追悼式典について、東日本大震災の発生から15年が経つ中で、「犠牲となった人を悼む」という意味合いは変わらないものの、その形には、変化が生じています。

石巻市震災伝承課 横山貴光課長
「ここが南浜津波復興祈念公園内にある石巻市慰霊碑。昨年まではこの場所の前で追悼式典を行っていました」

宮城県内で最も多い3970人が震災の犠牲となった石巻市。
慰霊碑の完成を受け4年前から、毎年3月11日はこの場所で追悼式典を行ってきました。

しかし今年は、「公園内の別の場所で式典を行う」と決めました。

石巻市震災伝承課 横山貴光課長
「発災時刻の午後2時46分に慰霊と鎮魂のためにつくった慰霊碑の前で、ご遺族や献花をする方が『手を合わせられない』ということから、『式典を優先するのはどうなんだ』という声をいただいたということで、ご遺族の方を最優先にという考えから今回は(場所の)変更と考えた」

石巻市は追悼式典について、3年前まで地区ごとに代表の遺族の出席を依頼していました。
しかし、おととしからは、遺族の負担を考慮し、代表1人に出席を依頼する形に変更しています。
さらに…

石巻市震災伝承課 横山貴光課長
「どうしてもサイレンを鳴らしますと、震災時のことを思い出すという声も頂戴しまして、おととしから若干音階の低いサイレンを採用して、そういった声に応えられるようにした」

石巻市の雄勝地区にある「雄勝ローズファクトリーガーデン」。この施設では、震災の伝承活動も行われていて、バラが見頃を迎える、5月、6月に限らず、1年を通して多くの人が防災学習に訪れます。

この施設を運営する徳水利枝さんも遺族の一人です。震災で母親を亡くし、自宅や実家も大きな被害に受けました。
石巻市の追悼式典には、これまで4回参加してきましたが、遺族の心情に配慮した形での変化を「ありがたい」と話します。

徳水利枝さん
「ありがたいと思います。私もあの音(サイレン)を聞いたらざわざわしてしまうので、すごくそこは気持ちに寄り添った施策をとってくだった」

震災の発生から15年が経った追悼式典の現状について、専門家は、次のように指摘します。

東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
「亡くなった方のために思う場としてそういった場(追悼式典)が設けられるわけですけども、時間の経過とともにその方(犠牲者)を直接知る方がだんだんと少なくなっていく。そうするとそういった目的(追悼)で行う意義が薄れていくのも実態」

今年の3月11日に追悼式典を行うのは、沿岸部の15自治体のうち、7つの市と町。
去年も式典を行った石巻市、東松島市、仙台市に加え、今年は震災15年の節目であることを理由に気仙沼市、南三陸町、七ケ浜町、山元町の4つの自治体が開催予定です。
一方で…

東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
「過去の起きた災害を忘れない、または次の災害に備えるという意味では、普遍的な共通的な重要な役割を持っているので、形を変えて継続するというのが自然な流れ、やむを得ない状況」

実際に県内では気仙沼市が2022年から追悼式典単体での開催ではなく「追悼と防災のつどい」として、「記憶と教訓を未来につなぐ」という意味合いを強めた行事に変更しました。

東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
「私はどんな形があってもいいと思います。小さな町内会であっても大きな市町村であっても、様々な形でこの東日本大震災のことを忘れないことが継続的に行われれば、何百年後にもう一回来てしまうかもしれない災害に十分に備えられる」

震災で母親を亡くした徳水さんは今年、石巻市の追悼式典に、遺族代表として出席します。しかし、「それぞれが、それぞれの思いで、3月11日を迎えるべき」だと話します。

徳水利枝さん
「この場所にこの時間にということがやりやすい、過ごしやすい人もいるでしょうし、それぞれの場所でそれぞれの思いで過ごしたいという方もいて、色々じゃないかなと思って」

東日本大震災の発生から15年…「今は亡き大切な人を思う日」に変わりはないものの、月日の経過によって、追悼式典の向き合い方は、変わり続けています。

徳水利枝さん
「行政も含めて遺族も含めて、自分たちを支援してくださったことへの感謝を確認して、感謝の気持ちを新たにする場かなと思います。それを確認するような年に1回の場はあってもいいと思います」

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。