アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃で中東情勢が緊迫しています。遠く離れた地域の衝突ですが私たちの生活にどのような影響を及ぼし始めたのか取材しました。

◆ガソリン価格が値上がり

宮川裕之記者:
「こちらのガソリンスタンドでは、レギュラーガソリン価格が1リットル157円です。イラン情勢を受け、すでに先週から3円値上げされています」
  
「石油情報センター」によりますと、2日時点の県内のレギュラーガソリンの平均小売価格は1リットルあたり162.6円。世界情勢の緊迫化を反映し、前週より2円値上がりしています。
 
去年末にガソリンの「暫定税率」が廃止され価格は一旦大きく下がったものの、今回のイラン攻撃で再び上昇。来週はさらに値上がりするとみられます。
  
井上商事石油部の陣内未日呂部長は「情勢の悪化が続けば上がっていく見通し…個人的な感覚で3円~4円ぐらいは上がっていくのでは」とします。
  
給油していた人は―
「これから上がると思い早めに給油に来た」
「仕事で年間5万キロ走るので、すごい打撃を受ける。暫定税率の廃止で下がった分が全部飛んでしまう。もったいない…」
 
店側も“強い危機感”を感じています。陣内部長は「おそらくオイルショックを超えるような上がり方をするのでは。政府がどのような対策をしてくれるか」と心配します。

◆燃料代アップに気を揉むイチゴ農家

値上がりの懸念はこんなところにも。
 
8品種1万5000株のイチゴを栽培している南越前町にある観光農園では、1月から6月までイチゴ摘みを楽しめます。
 
ハウス内の温度管理に欠かせない暖房の燃料は、灯油です。この農園では灯油代に年間約250万円を支出していて、業者から値上げ要請は来ていないものの不安は募ります。
 
川崎武彦ファームマネージャーは「今後、値上がりの予想がされているので、今日も急きょ給油してもらった。美味しいイチゴを安定的に作っていこうと思うと、どうしても灯油が必要となるので、今後の価格は非常に心配な要素」と話します。
  
2日時点の県内の店頭灯油価格の平均小売価格は18リットルあたり2300円で、前週から33円上がりました。こちらの農園では保温シートを使うなど燃料代の節約に努めています。
  
川崎ファームマネージャーは「物価高の状況で、イチゴの価格を上げるのは非常に難しいので、なんとか工夫しながらやっていきたい」と話します。

◆旅行業界にも影響…ドバイ経由のツアー

影響は、旅行にも広がる可能性もー
  
相互トラベルの担当者は「ヨーロッパ方面、特に中東、ドバイ経由のツアーは今後、中長期的にツアーがなくなったり中止になったりする可能性はある」とします。
  
実際、ヨーロッパ旅行を検討していた客の中にはドバイ経由の便だったため予約を見合わせたケースもありました。
 
去年、全国で問題となったクマ被害や、中国から日本への渡航自粛の呼びかけなどにより観光客が減り、厳しい状況が続いた旅行業界。
 
それだけに旅行会社からは「これ以上の影響は避けたい」という声も聞かれます。

◆専門家の見解

一方、今回の軍事攻撃が製造業を中心とする県内の企業に与える影響は限定的だとの見方もあります。
 
地域経済の専門家、仁愛大学の南保勝特任教授は「福井県の海外企業との取引関係を見ると、多いのはアジア、欧州、北米。中東との関係は限られたものなので短期的には影響はない」と分析します。
 
福井県の輸出は機械や繊維、化学製品などが中心で約2500億円あります。ただ、中東向けは1.6%にとどまり、県内企業の貿易拡大を支援するジェトロ福井も「直接的な影響は限定的」とみています。
 
福井の場合、中東との直接の取引は少なく短期的な影響は大きくないとみられています。ただ、原油価格は日本全体のエネルギー価格に直結します。
 
南保特任教授も「資源価格の上昇によって全体の物価が上がっていくことは日本全体で考えて懸念される要因だ」と指摘しています。
 
資源の石油は燃料だけでなくプラスチックなどさまざまな製品の原料にも使われていて、幅広い分野でさらなる物価の上昇も懸念されます。
 
中東の情勢がどこまで拡大するのか。その行方は依然として見通せない状況です。

福井テレビ
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