以前は多数の映画館が立ち並んでいたものの、いまでは映画が見られない街となってしまった富士市。かつての“映画文化”を再び復活させようと、市民がプロジェクトを立ち上げ奮闘しています。
かつての“シネマロード”も今は昔
江戸時代に東海道の宿場町として栄えた富士市の吉原地区。
吉原商店街には最盛期10軒近い映画館があり、“シネマロード”とも称されていた。

近隣住民は「(以前は)たくさんあったけれど、今は1軒もなくなった」「富士市には(映画館が)ない。隣町へ行かないとダメ。寂しい」と懐かしむ。
吉原商店街では26年前に最後の1軒が閉館。
2010年には市内唯一の映画館も閉館し、富士市は映画が見られない街となってしまった。
映画文化の灯をもう一度
こうした中、2025年に始まったのが“めぐる吉原映画祭”プロジェクトだ。
会場の1つとなったのは、かつて街ににぎわいを生んだ吉原東映劇場。
実行委員長を務める飯島充子さんは吉原で生まれ育ち、映写技師だった祖父の影響で幼い頃から映画に親しんできたといい、「吉原の地にもう一度、映画文化の灯をともしたい」という思いに共感したボランティアの手も借りながら劇場の片付けなど準備を進めていく。

飯島さんは「映画館がないのはすごくつまらない。今は(サブスクなど)自宅でいろいろ映画を見られる状態だが、映画は見終わった後にみんなで話をするのが楽しい。それはひとりでは出来ないこと」とプロジェクトを立ち上げた背景を明かし、ボランティアの男性は「吉原の街が盛り上がってくれたらいい」と口にした。
また、別の女性は「静岡市へ映画をよく見に行くが、富士にも(映画館が)あったらよいと常々思っていて、そういうきっかけになったらいい」と話す。
雨にも負けず…可能性が開けた映画祭
迎えた映画祭当日はあいにくの雨模様。
それでもこの日を待ちわびた多くの人が来場し、厳選された15作品が上映された。

来場した男性が「映画館自体が好き。あの雰囲気がいい」と言えば、別の来場者も「映画を通じて、いろいろな文化に触れ合う機会がなかなかないので、ぜひ若い方たちにも、こういう文化に触れてほしいと思った」と満足げな表情だ。
映画祭を終え、飯島さんも「閉まっている映画館を開けるというのは1つの目標だったし、1つ(富士市に)映画館ができるかもしれないという可能性を感じることもできた」と充実感をのぞかせた。
映画館の夢が叶う日は?
2月25日。
飯島さんは早くも2026年の映画祭に向け、準備に取り掛かっていた。

今後も映画祭を継続していくことが、富士市に再び映画館が出来ることにつながっていくと信じているからだ。
「みんなで盛り上げて、みんなで映画祭を行い、そして“映画館を街に作ろう”という動きになっていくのが一番の目標なので、そこに向けていろいろな方と話をして、巻き込んでいかなければ思っている」
(テレビ静岡)
