東京電力は3月6日午前10時11分、福島第一原子力発電所で通算18回目となる処理水の海洋放出を開始したと公表した。今回の放出は19日間行われ、3月24日に完了する見通し。放出予定量は約7,800t(タンク約8基分)、想定トリチウム総量は約2兆ベクレルとなっている。

福島第一原発1号機から3号機の原子炉の中には、事故で溶け落ちた核燃料が固まった“燃料デブリ”が存在する。“処理水”はこの燃料デブリなどに地下水や雨水などが触れることで発生する“汚染水”から大部分の放射性物質を取り除いたもの。海洋放出は2023年8月に開始され、2025年12月には通算17回目の放出が完了。これまでに約13万3,000t(タンク約133基分)の処理水が放出された。

処理水の放出は、敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らし、廃炉のためのスペースを開けることが大きな目的のひとつ。2026年2月19日の時点で、処理水等の貯蔵量は放出開始前から約6%減少している。貯蔵されている水の中には処理水放出の基準を満たす前の“処理途上水”も含まれている。

処理水の海洋放出は、放出前の水をためる水槽と海水面の高低差を利用して海に流れるようになっているため、海面が高くなって水が逆流してしまう恐れがある場合や、設備の安全性を確認すべき場合には放出を停止することが定められている。
震度5以上の地震や津波注意報、竜巻注意情報(発生確度2)、高潮警報などで放出を手動停止することが決まっていて、これまで2024年3月の地震、2025年7月の竜巻注意情報や津波注意報、同年12月の津波注意報で手動停止したことがあるが、放射性物質の基準を超えるなど、運用に関する大きなトラブルは現時点で発生していない。

18回目の海洋放出は、年1回実施されている“2段階放出”を行った。
“2段階放出”は、まず「第1段階」として、海につながる水槽にまでは越水させず、その“前段階の水槽”で放出基準を満たすことを確認し、それが確認できてから「第2段階」として放出を実施する。これまで大きなトラブルが確認されていないものの、東京電力は地元からの意見などを踏まえて、処理水が計画通りに薄められているかどうかなどを確認するため、年1回の“2段階放出”を実施している。
海洋放出の運用上限値は1リットルあたりのトリチウム濃度1,500ベクレル。これに対し、計測機器の誤差なども考慮したうえでの基準である「1リットルあたり700ベクレル未満」であることが3月5日に確認されている。


東京電力は2026年度についても計8回の処理水放出を実施する計画。合わせて約6万2,400t(タンク約62基分)の処理水を放出、年間のトリチウムの放出量は約11兆ベクレルと予定されている。これまでの運用実績をもとに作業の効率化が可能だとして2025年度よりも1回多い計画となる。また、“処理途上水”についても2026年度中に二次処理を開始するとし、これらは当面の間、二次処理をした年度ではなく翌年度の放出候補にするとしている。

国と東京電力が掲げる第一原発の廃炉完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年とされている。

福島テレビ
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