「日本茶」の魅力発信です。長野県箕輪町で70年以上続く日本茶専門店は2025年、カフェスペースをつくり「急須」を使ったスイーツなど「映える商品」を販売しています。若い世代も含めもっとお茶に親しんでほしい。3代目社長の挑戦です。
■映える「急須(きゅうす)ィーツ」
焼きあがったのは丸い形のたい焼き「めでたい焼き」。
一方、こちらは「急須(きゅうす)ィーツ」。急須の形をした器に抹茶味のティラミスが入っています。
見た目も映える本格的なスイーツ。提供しているのは箕輪町の「藤乃園」です。
70年以上続く日本茶専門店。お茶だけでなくスイーツも人気の店です。
客:
「抹茶の香りがすごく立つので、かんだ時にふわっと抹茶が香る。おいしい」
■スイーツに力を入れる理由は?
藤乃園 3代目・伊藤真吾さん:
「他に丸いたい焼き見たことないから(客に)喜ばれる」
3代目社長の伊藤真吾さん(46)です。
なぜ、スイーツに力を入れているのでしょうか?
藤乃園 3代目・伊藤真吾さん:
「お茶だけだと、今、急須でお茶を飲むというのも、どうしても減ってきちゃっているので、きっかけとして(店に)入ってもらえる。(お茶)こんなのあるんだみたいな話ししてもらえれば、こういう感じですと話ができる、一つのきっかけになれば」
■「急須離れ」への危機感
藤乃園は1949年創業。伊藤さんの祖父・邦男さんが日本茶専門店として茶葉の販売を始めました。
伊藤真吾さん:
「(祖父が)戦争に行って、いろいろと物資がない中で帰ってきて、お茶を飲んだ時にすごく落ち着いた。やっぱお茶いいなみたいな(創業理由)だったと昔、聞いた覚えがある」
地元住民から親しまれてきた店。
父・隆さんが2代目になり、1992年には町内に支店もオープン。塩尻の菓子店から仕入れたケーキなども販売し、カフェスペースも併設しました。
伊藤さんは、3代目となるべく二十歳のころから本場・静岡の店などで修業。26歳の時に戻り支店で働いていましたが、4年前、父・隆さんが病気で亡くなります。
その後、支店のテナント契約期間などもあり、2025年2月からは「本店」のみの営業に切り替えました。
その際、伊藤さんの考えで本店をリニューアルしました。
伊藤真吾さん:
「カウンターは知っている方にこんなイメージと伝えて作っていただいた。うちに昔あったお茶箱を張ってもらって、残したいなと思って作ってもらった」
カフェスペースを設けたのです。
閉店した支店にあったカフェスペースを残してほしいという客からの要望もありましたが、一番の理由は―。
伊藤真吾さん:
「(お茶を)急須で入れるというのは、だいぶ減っている。ペットボトルもありますけど、急須で飲むとおいしいので、そういった部分も感じてもらえれば」
近年、急須からお茶を飲む人が減っていると危機感を感じていた伊藤さん。
スイーツにも力を入れて客を呼び込みお茶を親しむきっかけになればと考えたのです。
伊藤真吾さん:
「新しい形でどういうふうにやっていけるか考えたときに、イートインスペースとお菓子が作れるように許可をとって、オリジナルが作れればいい」
■菓子店での経験生かす
実は伊藤さん、静岡で修業した後、箕輪に戻るまで支店が扱っていた塩尻の菓子店で4年間、働いていました。
その経験を生かしオリジナルのスイーツやドリンクを自ら作り提供しています。
カフェの看板メニューは「急須ィーツ」。
日本茶専門店らしく抹茶味のティラミスを急須の形の器に入れて提供。
「映える」スイーツとして人気商品となっています。
伊藤真吾さん:
「お茶屋っぽいので何かやりたいという中で、(スイーツを)急須に入れたらいいのでは」
記者が試食―。
(記者リポート)
「クリームチーズの爽やかな味の後に、抹茶の濃い味がしっかりあっておいしいです。急須の器に入れられているので、見た目もかわいくて、とても映えます」
■もちもち生地の「たい焼き」
丸いたい焼きは、あんことカスタードクリームの2種類。
伊藤真吾さん:
「(生地が)ちょっとモチっとするように2種類の粉を混ぜて作っている」
あんこは抹茶のホイップクリームを中に入れ、カスタードクリームは地元産のリンゴを使った乾燥チップスを入れて販売しています。
こちらも人気となっています。
■「抹茶が濃い!」客から絶賛の声
抹茶あずきの味は―。
客(伊那市から):
「抹茶の香りがすごくして、クリームがふわふわしているので、あずきと(生地)とのふわふわがあってとてもおいしいです」
客(町内から):
「お昼の後のデザートを買いに。お茶屋さんだけあって、ちょっとした苦みと甘さが癖になる。僕はそういうところが好き。ちょっとした苦さがハマります」
客(町内から):
「めちゃめちゃ好きなんですよ。抹茶が濃いからお茶好きな人には最高です。すごく濃くておいしいので」
このほか、ほうじ茶のクッキー生地の上に、リンゴチップスを乗せたフロランタンや期間限定の抹茶ラテなどのドリンクも販売しています。
■目指すは創業100年
カフェスペースを設けて1年。
伊藤さんも手ごたえを感じています。
伊藤真吾さん:
「たい焼きを買いに来ていただいたり、ドリンクを買いに来ていただいた時に店内見て『こんなお茶もあるんだ』と手に取っていただく機会も増えたな」
若い世代も含めもっとお茶に親しんでほしい―。
その思いを胸に3代目社長の挑戦は続きます。
藤乃園 3代目・伊藤真吾さん
「小さい子だったら、大きくなっても、『まだこの店残ってるんだ』と思ってもらえたらいいな。創業してから七十数年たっているので、100年は目指したいな」