2月20日に三重県の鳥羽市沖で貨物船が遊漁船に衝突した事故では、2人が死亡、10人が重軽傷を負いました。あの日の衝突の経緯が、目撃証言から明らかになってきました。
■「これはヤバいと思って…」 衝突寸前の現場の様子は…
鳥羽海上保安部によりますと、2月20日午後1時前、鳥羽市国崎町沖を航行していた貨物船「新生丸」が、遊漁船「功成丸」に衝突。
遊漁船に乗っていた13人全員が海に投げ出され、2人が死亡、10人が重軽傷を負いました。

鳥羽海上保安部は、貨物船を操船していた二等航海士の杉本波音容疑者(21)を業務上過失致死などの疑いで逮捕しました。

遊漁船の男性船長(66)からも任意で事情を聞き、当時の詳しい状況を調べています。
別の遊漁船「勝丸」の船長・坂口元紀さんは、“衝突寸前”の現場の様子を証言しました。
勝丸の坂口船長:
「(新生丸が)だいぶ近くに寄ってきて、功成丸の方を向いていたから『これはやばいな』と思いました」
当時、数十メートル離れた場所でアジ釣りをしようとしていたところ、事故の危険を察知し、遊漁船に無線で呼びかけました。
坂口船長:
「功成丸さんに漁業無線で呼んだんですけど、運転席にはいなくて、『これはいかんな』と思って汽笛を数回鳴らしました。無反応でしたね」
海上保安部によりますと、貨物船は、いかりを下ろして停泊していた遊漁船の右側に真っすぐ突っ込んだと見られています。

Q.回避行動は取っていた?
坂口船長:
「そんなことはないと思います。ぶつかってからも、しばらくは真っすぐ進んでいました。1キロ以上は真っすぐ進んでいたと思います」
■事故は避けられなかったのか
実は「海上衝突予防法」という法律に、防ぐ手立てが定められています。それが『黒球』です。
坂口船長:
「黒球はアンカー(いかり)を入れた時に掲げないといけないルールですね」
今回の遊漁船のように、いかりを下ろして停泊する場合、これを掲げて“止まっている”と相手にわかるよう示すことが義務付けられています。今回の船では…。
坂口船長:
「功成丸さんは(黒球を)揚げていました。見えるように、運転席の後ろの外の方にロープで結んで揚げていましたね。結構上に掲げていたので、遠くからでも見えると思いますけど」

それでも起きてしまった事故。専門家からは、両方の船の見張りが不十分だった可能性も指摘されています。
アジなどがよく釣れる漁場でありながら、貨物船の航路でもある海域で起きた悲劇。
坂口船長:
「あそこはあのサイズの貨物船がよく通りますので、20〜30m横を通っていくこともあるんです」
事故の2日後からは、国の運輸安全委員会の船舶事故調査官が現地に入り、原因究明に向けた調査が進められています。
