「ちょっとビックリですね!」
【講演会参加者】
「わ~これすごいと思って」
「やっぱり最古といわれると興味がある」
「ちょっとびっくりですね」
およそ1000人が入るホールの多くを埋め尽くした人たち。
その視線の先にいるのは…
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「考古学的なデータを突きつけられた瞬間、私は奈良の研究者としてある種の敗北感とともに大きな衝撃を受けました」
※2025年9月当時
【野川諭生アナウンサー】
Q:作業はどういうことをするのか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「ここが4万2300年前の地層で確かであると、『放射線炭素年代測定』という分析で年代を出しているんですが、それ以外の地質学的な科学分析で地層の年代をより確かめていく」
廿日市市吉和。
山に囲まれたこの場所にあるのが冠遺跡です。
国武さんがおととし見つけたのは、日本最古とみられる石器です。
『世界の人類学にとっても非常に画期的な発見』として、去年から追加の調査がスタート。
旧石器時代に詳しい専門家も『年代の確実性は高い』と注目します。
歴史ロマン溢れる研究を、きょうは徹底解説します。
石器発見は「仰天!」のひとこと
ここからは先ほど講演会が終わったばかりの、奈良文化材研究所の国武貞克さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
Q:国武さん、国内外で遺跡の発掘調査に携わっているということですが、今回の冠遺跡で発見は研究員人生の中でもどんな位置づけですか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「やはり『仰天』の一言です!」
【野川アナ】
この二文字にすべてが詰まっているというか、
私も去年、発掘の現場にお邪魔しましたが、広島の大地にロマン溢れる世界が広がっているのかと私も仰天しました。
地表から1メートルくらいの地層から出てきた
さて、これまでの軌跡をまとめましたので、これをもとにじっくりとお話を伺っていきたいと思います。
まずは冠遺跡、山口県との県境近くの廿日市市吉和に位置しています。
1960年代に中国自動車道の工事にともなう調査で「やりの先端」が出てきたことがきっかけで、様々な研究者による発掘調査が進められてきました。
そんな遺跡で国武さんは2023年から本格的に調査をしていて、おととし「4万2300年前」の地層から石器が出てきたということなんですね。
Q:4万2300年前の地層はどのくらい堀ったら出てくるものなんですか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「地表から1メートルぐらいの深さでこの地層が出てきます。意外に浅いんですけれども、旧石器時代の地層は割としっかりと積もってまして、発掘調査するときにはなかなかたどり着かない深さなんですね」
日本列島に人類がやってきた時期が変わる!?
これまで日本で最も古いと言われてきた石器は『およそ3万7500年前』のものですが、それよりもさらに「5000年」古いとみられる石器が今回見つかりました。
山内さんご覧になっていかがですか?
【コメンテーター:元カープ・山内泰幸さん】
「最古のものであって欲しいです。よく分からないけど、凄いことだと思います」
Q:国武さん、この石器はどんな特徴があるんですか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「石器の縁をギザギザに加工したり、先を少し尖らせたり、そういう加工が特徴ですね」
Q:およそ5万年から4万年前に、中国大陸や朝鮮半島で使われていたものと同じ特徴をしているということで、国武さん、ここからどのようなことが考えられるのでしょうか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「こういった石器群、日本では今まで出てきてませんでしたけれども、中国大陸、朝鮮半島と同じものが出てきてるってことは、そこから人がやって来たということになりますね」
まさに、『人類が日本列島にやってきた時期』というのが変わるかもしれない、ということなんですね。
これまでは日本に人類がやってきたのは、旧石器時代の「後期」とされてきましたが、それがもっと前の「中期」の可能性があるということなんですね。
Q:人類の歴史が変わるということは、教科書の中身も変わるということですか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「変わりますね。変わらないといけない大発見です」
「ワクワクして毎日眠れない。面白くて興奮が高まる」
ただ見つかっただけではまだ確定はできないんです。
国武さんを含む専門家たちは、石器が見つかった地層が本当に「4万2300年前」のものかを確かなものにするために、様々な調査や分析を行っているというわけなんです。
去年の9月には地質学の専門家も加わって地層に含まれている火山灰を採取したりして調査を行いました。
Q:国武さん、輪郭がだいぶ見えてきましたか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「そうですね。1 年間調査検証で、火山灰、それから地磁気の調査によりまして、年代がだんだん見えてきましたね。これによって、この遺跡の年代を確かめていくということですね。より確かな証拠で万全を記す調査です」
Q:本当に教科書が変わるかもしれないというほどの一大事ということですから、今後の研究がより一層高まっていきそうなところなんですけれども、流れとしては、この後どんなことをお考えられますか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「朝鮮半島と中国大陸とよく似てる石器だということで、より詳しく発掘した資料を比較をします。その比較を通じて、より具体的に大陸のどこから人が来たのかとか、どういう文化を持った人がやってきたのかということを、明らかにしていくという形で進めていくことになりますね」
Q:その作業に対して、研究者としてのワクワク感というのはいかがですか?
【奈良文化財研究所 国武貞克 主任研究員】
「もう眠れませんね。毎日眠れません(笑)。あまりにも面白くて!とても興奮が高まってですね、とても面白い研究が今進んでいます!」
私も国武先生の様子を取材させていただいて、本当に目がキラキラされているのが非常に印象的であります。
本当にこの広島で歴史が変わるほどのことが起きるかもしれないということで、今後の研究により一層期待が高まります。
ここまで国武さんとお伝えしました。
国武さん、ありがとうございました。