大阪地検の元トップから性的暴行を受けたと訴える女性検事。

性的暴行によって心的外傷後ストレス障害=PTSDを負っているとして、準強制性交等罪よりも量刑の重い準強制性交等致傷での起訴を改めて求めた。

■異例の裁判 現職の検事が国や検察幹部に賠償を求める

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16日、現職の検事が国や検察幹部などに賠償を求めて起こした異例の裁判。

元大阪地検検事正からの性的暴行の被害を訴えるひかりさん(仮名)は、「検察組織の対応によって二次被害を受けた」とし、あわせておよそ8300万円の賠償を求めていて、17日、会見を開いた。

大阪地検・検事 ひかりさん(仮名):泣き寝入りしてしまうと、私はもう生きていけない。検察の問題は職員の安全だけでなく、国民の安全に大きな影響をもたらす問題です。

ひかりさんは2018年、職場の懇親会の後、酒に酔って抵抗できない状態で、当時、大阪地検の検事正だった北川健太郎被告(66)から性的暴行をされたと訴えている。

北川被告は準強制性交等罪で起訴され、裁判では一度は起訴内容を認めるも、その後、無罪を主張。審理は今も続いている。

事件の一方で、検察庁内では同僚の副検事が被害者の名前を言いふらし、幹部はそれを知りながら直接止めず、拡散につながったとしている。

■「誰にも知られたくない」 夫には1年 職場には事件から5年以上たってから申告

事件以降、逃げるように仕事に没頭し、病院に緊急搬送されたこともあったひかりさん。

それでも、1人で抱え続けたのは…。

大阪地検・検事 ひかりさん(仮名):私は検察組織と職員に迷惑がかかると思ったんですよ。特捜部の検事がフロッピーディスク改ざんで、当時は大阪地検にマスコミが押し寄せて『ああなっちゃう』と思って、めっちゃ怖くなったんですよね。自分、誰にも知られたくないのに。

夫に打ち明けることができたのは、事件から1年後のことだった。

ひかりさんの夫:正直、全部に腹が立つ。(当時、妻は)薬を飲んだりして安定させないといけなくて。

不眠やフラッシュバックなどの症状が悪化し続けたひかりさん。「PTSD」と診断され、職場に被害を申告できたのは、事件から5年以上たってからのことだった。

■「こんなんじゃなかった…」 より刑罰の重い罪に変更を求める

会見でひかりさんは、「PTSDは性的暴行が原因」として、北川被告に問う罪を現在の「準強制性交等罪」ではなく、刑罰の重い準強制性交等「致傷」に変更してほしいと改めて求めた。

大阪地検・検事 ひかりさん(仮名):(罪名変更で)裁判を裁判員裁判にして、一般の方の良識・常識で裁いてほしい。私はこの事件の被害を受ける前は、めっちゃ元気だったんですよ。明るくて…こんなんじゃなかったんですよ。だから被害を受けて、こんなんになっちゃったって…、しかもこれが一生続く…。

検察はひかりさんの求める罪名の変更に応じていない。

■「心の傷は身体的な傷と客観性が異なる」と検察幹部

ある検察幹部は、関西テレビの取材に「一般論ではある」と前置きをしたうえで次のように述べた。

検察幹部:心の傷は、患者の自己申告によって診断され、身体的な傷と客観性が異なる。事件と申告の期間が空いていると因果関係の立証が難しくなる。

こういったことを話し、“心の傷”の事件化についてハードルの高さを語っている。

■「被害を訴えるコストが余りにも重い」と浜田さん

ひかりさんの話では、北川被告から被害を受けてから夫に被害を打ち明けたのが1年後。

そして職場に被害を申告するのに5年以上かかった。

ひかりさんと直接、話をしたというジャーナリストの浜田敬子さんは「ひかりさんのケースだけではなく、セクハラも、その被害を受けた人がその被害を訴えるコストが余りにも重い」とし、被害の深刻に時間がかかった背景についてこう話す。

浜田敬子さん:ひかりさんだけでなく、被害を訴える人が例えば『それは本当なのか』、『嘘ついてるんじゃないか』と言われたり、もっと言えば、加害をした人が会社・組織の上司・トップだとあまりにも権力を持ってる。そうすると職を失う可能性があるということを恐れて、被害を言い出しにくいということは、ままあること。なので、これだけ時間がかかった。

また、ひかりさんが国や警察幹部までを相手に民事裁判を起こしたことについては。

浜田敬子さん:刑事裁判が今進行中ですけども、彼女が一番求めていたことは、こういうことが起きたのであれば、検察内で他にも被害者がいるんじゃないか、なぜこれが起きたのかということを第三者委員会のような形できちんと調査をして、再発防止につなげてほしい。それが組織を預かるトップとしての、働く人への安全配慮義務なのではないかとずっと言ってきた。なかなか組織が動いてくれないので、こういう裁判に至った。

■被害の相談は全国共通で#8891

性暴力対応看護師として被害者ケアをされている片岡笑美子さんによると、「身近な人からの被害は特に申告しづらい。『自分だけ我慢したら』、『自分が悪かった』、などと相談できずに抱え込む人ほど、PTSDになりやすい」と被害の申告の難しさについて語った。

被害者なのに、自分を責めてしまい、声を上げることのハードルが高くなってしまうということだ。

犬山紙子さん:こういった話は、正直泣き寝入りしてる方は、私の知り合いにもいますし、本当にたくさん聞きます。本当によくあることだと感じている。
PTSDを抱える中で、裁判で戦うのはとてつもない労力で、本当に大変なことだと思う。でも、この先の人たちのためにと立ち上がっている。被害に遭った方をいかにして守る制度を整えていくのか。そして最初の、例えば第三者調査をやってほしいという所の対応の悪さも議論されるべき。

各都道府県にあるワンストップ支援センターでは医療的なケア、法的なケアなど、専門性を持った人が長期的にケアをしてくれるということで抱え込まずに、相談してほしい。

番号は全国共通で#8891、はやくワンストップだ。

(関西テレビ「newsランナー」2026年2月17日放送)

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