複数の県職員へのセクハラ行為を認め、2025年12月に辞職した福井県の前知事、杉本達治氏が、退職金の一部を返還する意向であることが分かった。県議会は全額の返還を求めていたのに対し、杉本氏は「退職金は法令に基づいて支給されたものであり、返還の根拠がない」と大部分の返還を拒んでいる。
県議会は退職金6000万円の返還を要請
県職員の1人が杉本前知事からのセクハラ被害について外部窓口に通報し、調査の結果、複数の県職員へのセクハラ行為が認定された杉本前知事。約20年にわたって複数の女性職員に対し不適切なメッセージを送ったり、身体を触るなどの行為に及んでいた事が判明した。杉本氏は2025年12月に辞職し、6000万円の退職金が支払われた。
県議会は、一連の問題についてこれまでに複数回、全員協議会を開き対応を検討。前回1月20日の会議では▼6000万円余りの退職金の返還▼県民へ直接説明する場の設定を杉本氏に求めるよう中村保博副知事に要請していた。
杉本氏は調査費用1000万円のみ返還意向
2月16日に開かれた3回目の全員協議会では、中村副知事が杉本氏と面談し、得られた回答について報告があった。杉本氏は退職金について「法令に基づいて支給された退職金の返還は根拠がない」と主張したという。その一方で、被害者や県職員に迷惑をかけ県政を混乱させた責任を感じ、特別調査の費用900万円を含む1000万円を返還する意向を示した。
県民への説明責任を果たすよう求める要請については「被害者の県職員の心理的負担に配慮し文書による回答で対応したい」としたという。
これに対し議員からは「少しは返還するが大部分は返さないと…これをどう捉えるか安直に判断しづらい」「本人が顔を出して自分の口で何らかの形で県民に対して説明すべきではないか。もう一度、そう前知事に言えないか」と杉本氏の回答を疑問視する声が上がった。
前知事の“側近”の責任問う声も
また議会からは、1月の知事選で県の「刷新」を掲げて当選した石田嵩人知事の姿がないことへの疑問の声も上がった。
長年にわたり前知事のセクハラを許した県庁組織。議員は杉本氏の側近とされた中村副知事に対し「もし責任を感じるなら、何らかの処分を自分で決めていただきたい」と追及した。
20日に開会する2月県議会では、都道府県では全国初の「ハラスメント防止条例案」が提案されるが、石田知事がどこまで厳しく臨むのか、また、中村副知事が自身の責任をどう判断するのかが問われる。
