静岡県伊東市の田久保眞紀前市長の学歴詐称問題をめぐり、警察が田久保前市長の自宅を家宅捜索しました。警察はなぜ強制捜査に踏み切ったのか、そして今後どのような展開が考えられるのでしょうか。
◆ついに“自宅ガサ”
村田彬記者:
田久保前市長の自宅前です。複数の捜査員が自宅を出入りしている様子が確認できます
2月14日、伊東市の住宅を出入りしていたのは静岡県警の捜査員。ここに住んでいるのは、伊東市の田久保眞紀前市長です。
2025年5月の伊東市長選で初当選を果たし、満面の笑みを見せていましたが直後に発覚したのが学歴詐称問題です。
◆“卒業証書”は?市長時代も明確な回答を避け続け
実際には大学を除籍になっていたにもかかわらず市の広報誌などには最終学歴を東洋大学法学部卒業と記載していました。
また、議長や副議長などには自身の持っている“卒業証書”とされる資料を見せていましたが、2025年7月に開いた記者会見では―。
伊東市・田久保眞紀市長(当時):
卒業は確認ができませんでした。除籍であることが判明しました。一度卒業という扱いになってなぜ除籍になっているのかは確認ができ次第 示していくしなかない
さらに市議会の百条委員会では、学歴詐称問題に関して事実を歪曲し虚偽の証言をしたなどと認定されています。
このため田久保前市長は、公職選挙法違反の疑いや地方自治法違反の疑いなどで刑事告発され、受理した警察の捜査が続いています。
市長失職後、2度目の当選を目指して市長選に名乗りをあげたとき、この問題を報道陣から問われましたが―。
伊東市・田久保眞紀前市長:
私の意思だけで進むものではありませんので、慎重に対応するというのは捜査機関に対する礼節でもありますし、ここで軽はずみな発言は控えさせていただきたい。
さらに追及されると―。
伊東市・田久保眞紀前市長:
何度も申し上げますが私の意思で決められないそこはご容赦いただきたいと思います。というかご理解いただきたい
「捜査機関への礼節」といった発言や、時には語気を強めながら明確な回答を避け続けました。
その“捜査機関”警察から卒業証書とされる資料を出すよう求められますが、2月12日に拒否する文書を提出。
そして提出拒否から2日後、警察は田久保前市長の自宅へ強制捜査に入りました。
◆代理人「出すとすれば公判段階」
村田彬記者:
今複数の捜査員がブルーシートを広げて自宅前へと向かっていきます
田久保前市長の自宅への警察による家宅捜索は約7時間。
田久保前市長が移動するためでしょうか。時折、ブルーシートで自宅前を覆う場面もありました。
田久保前市長が提出を拒否した卒業証書はいま代理人を務める福島弁護士の事務所の金庫に保管されています。
福島弁護士は、今後も捜査機関に提出はしない考えです。
田久保前市長の代理人・福島正洋弁護士:
今の時点で例えば、捜査側にいろいろ話をして供述調書を作られても、あるいはこちらから証拠を渡しても何も良いことはないので、もしこちらから何か出すとすればそれは公判段階
◆必然だった家宅捜索
“卒業証書”提出拒否からの今回の家宅捜索。菊地幸夫弁護士は「“必然”だった」と話します。
菊地幸夫弁護士:
捜査に協力しない姿勢が明らかになったので、そうなれば県警としても次に出すカードとしては任意ではなくて強制という捜査手法になってこざるを得ないその結果だと思います
では今後の捜査の行方は―。
田久保前市長の代理人・福島弁護士は、弁護士などが持つ「押収拒絶権」を使って、警察に強制的に押収させない方針を示しています。
田久保前市長の代理人・福島正洋弁護士:
(記者:県警がこちらに捜査に入ることはないですか?)
この事務所にですか?それは分からないですね、私が決めることじゃないですからね、ただくれば拒否しますよ
(来れば拒否される?)
もちろんです
◆“卒業証書”の押収は?身柄拘束は?
ただ、菊地弁護士は警察が押収する可能性もあると指摘します。
菊地幸夫弁護士:
少なくとも田久保前市長の主張では“19.2秒”とある程度長い時間人に見せている。もうこれ秘密ではないんじゃないか、秘密性が喪失されているのではないかという観点が1つ。それから弁護士に預けてしまえば証拠は一切出ないというようなことになるのは、権利の乱用になるんではないかという観点が2つ目。こういう理由で警察が最終的に強行突破すると、弁護士が「ノー」と言っても強制的に技術者を呼んで金庫を開けさせて卒業証書を差し押さえていくことがないとは言い切れないと思います
一方でそうした捜査をした場合には、裁判所が「違法」と判断するリスクもあるといいます。
こうした中で、警察はさらに踏み込んだ対応をする可能性もあるということです。
菊地幸夫弁護士:
警察からすれば(“卒業証書”の提出拒否は)宣戦布告されたことなので、(捜査協力しない)そういう方向に進む限り事が大きくなる。出頭要請あるいは証拠提出要請を拒み続けると最終的には身柄取ることはないとは言えないと思います
警察が捜査を進めているいずれの事件についても、犯罪の成立を否認しているという田久保前市長。警察の今後の対応か注目されています。