新旧の店が軒を連ねる独特な商店街…新しい取り組み

名古屋市西区の円頓寺(えんどうじ)商店街では、今テイクアウトできる店が増えている。
商店街の楽しみ方として、新しい取り組みがスタート。お店にとってもお客さんにとっても嬉しい仕組みを取材した。

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名古屋駅から歩いて15分の円頓寺商店街。

昔ながらのアーケードの下には昭和の雰囲気たっぷりの食堂が。その隣には国内外から集めたモダンな洋服のセレクトショップ。町の自転車屋さんの隣には、おしゃれな和食の居酒屋さん。さらにはボルダリングのジムまで。

10年ほど前から新しい店舗が随分と増え、新旧の店が軒を連ねることで、他にはない魅力を生んでいる。

その円頓寺商店街で今増えているのがテイクアウトだ。

「からあげ分店」では、ショウガと少量のハチミツでふっくらと仕上げた「から揚げ弁当(520円)」や、自家製のタルタルソースをかけた「アジフライ弁当(750円)」などがテイクアウトできる。

「しゃばらむ」では、マグロの中落ちの漬け丼がワンコインの500円。「サーモンアボカド丼」もワンコインと、約700メートル延びる商店街には、テイクアウトができる店が17軒も並んでいる。

男性客:
1週間に4~5回は来る。から揚げが、カラッとして美味しい。ここでしか買わない

女性客:
よく使います。便利だなって思います。ふらっと行けるし、すぐ持って帰れるし

「なごのや」では、ふわっふわの卵焼きを挟んだ、名物の「タマゴサンド(750円)」や、肉がホロホロになるまでじっくり煮込んだ「チキンカレー(750円)」。

さらに昔懐かしい「ナポリタン(800円)」も人気だ。

まとめて紹介「円頓寺商店街TAKE OUT」

カフェとゲストハウスを経営している「なごのや」だが、新型コロナの影響で利用客は激減。商店街の他の店舗同様、大きな影響を受けた。

そこで、「なごのや」の主人で商店街の理事長も務める田尾さんは、お店のテイクアウト情報をまとめた「円頓寺商店街TAKE OUT」のウェブサイトを作った。

「円頓寺商店街TAKE OUT」は、店で出しているメニューを価格とボリュームはそのままでテイクアウトできるもので、「なごのや」の他にも、老舗の寿司店や沖縄料理の店など、8店舗が参加した(9月23日時点)。

ウェブサイトに加えてチラシも作成し、口コミで少しずつ利用者を増やしている。
お店のテイクアウト情報をまとめてPRした理由は…

田尾さん:
テイクアウトを始めたお店が、それぞれバラバラにやっていて、地域の方からも「どこでどういうものが買えるのか分からない」という声が多かったので。商店街全体で分かりやすく皆さんにお伝えしたいと

まとめて紹介することで利用者には分かりやすく、店側としてはアピールしやすくなった。

自家製のみそダレで味付けした「ホルモン丼(460円)」や「豚しょうが丼玉子付(660円)」がテイクアウトできるホルモン鉄板焼きの「日喜屋」では、この取り組みに参加するようになり、注文が増えてきた。

日喜屋の店主: 
遠くからもお電話いただいて、ありがたいです。皆さんがやれば円頓寺ってものも知って頂けると思うし

またスペインバルの人気店「バル・デュフィ」では、牛肉の赤身を使ったボリューム満点の「サイコロステーキ丼(880円)」や「牛肉100%ハンバーグ弁当(880円)」などがメニューに載る。

バル・デュフィの店主:
色んなお店のものを注文して楽しめるっていうのは、大きな魅力だと思っています

しかも、この「円頓寺商店街TAKE OUT」には、更にあるサービスがあった。

同・店主:
本当はお店に来ていただくのが一番いいのですけど、できないのであれば、デリバリーで楽しんでもらえればいいなと

大手サービスでなく地元の「自転車便」がデリバリー

「円頓寺商店街TAKE OUT」では、自転車便による独自のデリバリーサービスをしている。
その配達エリアは、北は浄心、南はささしまライブ、東は高岳、西は本陣まで。どの店も1000円以上の注文で、無料で配達をしている。

取材したこの日も3件の注文が入った。官庁街の三の丸エリアも得意先の1つだ。

利用した男性:
食堂があるのですが、コロナで行くことも難しいので。定期的に利用していて、とてもおいしいなと。色んな店舗が増えて円頓寺が盛り上がればいいなと思っています

おいしくて便利なだけではなく「円頓寺を応援したい」…その思いから注文する人も増えてきている。

運ぶのは地元の自転車便業者。元々はオフィスの書類などを届けていた。

円頓寺商店街の田尾さん:
大手のサービスもあるけど、手数料が高くて採算が取れない。(宅配サービスを)色んなお店が始めていて、商店街の小さなお店が大手のサイトに載ったところで、お客さんに見つけてもらえない。店の誰もが使いやすく、使える独自の販売サービスができないかなと思いました

商店街側も利用者側も双方が使いやすいシステムを作り、円頓寺商店街のファンを増やしたいと考えている。
自転車便の担当者は…

自転車便の担当者:
数年前からビジネスデリバリーだけでは今後厳しいなって。他に仕事を増やしていかないといけないなっていうところで、うれしかったですね

田尾さん:
こういう環境でやりたくてもできないことって沢山あるのですけど、不満ばっかり言っているのでなくて、この機会に円頓寺商店街らしい“新しい楽しみ”を提供する、そんな事ができたらと思います

商店街に足を運ばなくても“楽しめる方法”はないか…
そう考えて生まれたのが、独自のデリバリーサービスもある「円頓寺商店街TAKE OUT」。

コロナショックで生まれた、商店街の新たな可能性への挑戦。「円頓寺商店街TAKE OUT」は2021以降も続ける予定で、注文金額が1000円以上での無料デリバリーも、2020年内は続ける予定だ。

(東海テレビ)

東海テレビ
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