海藻を食べさせ、牛のゲップに含まれたメタンを減らして、地球温暖化にブレーキをかけるスタートアップの挑戦に迫りました。
海の恵み豊かな四国・高知県で、牛に海藻を食べさせることで温室効果ガスを減らして、暑い地球を冷ます挑戦が行われています。
赤い海藻の「カギケノリ」は、独特な苦みやえぐみがあることから、食用には向かないとされています。
実はこのカギケノリに、牛のゲップに含まれるメタンを最大98%減らせる効果があるといいます。
海藻テクノロジーで世界を変えるスタートアップの挑戦に迫りました。
地球温暖化を防ぐため、温室効果ガスを削減するさまざまな対策が世界中で行われている昨今。
中でも、牛などの反すう動物がゲップなどで排出するメタンガスは、CO2の28倍もの温室効果があるとして、削減が急務とされています。
そこで今、注目されているのが、熱帯から温帯の海に生息する海藻の一種、カギケノリです。
オーストラリアで、カギケノリを0.2%飼料に混ぜ羊や牛に与えたところ、メタンガスを減らす効果があるとの研究結果が。
カギケノリには「ブロモホルム」と呼ばれる物質が他の海藻より多く含まれ、メタンガスを発生するのを抑制する効果があるとされています。
サンシキ・久保田遼代表:
まだまだ海藻を量産するところが課題だった。日本の海藻の養殖技術が優れているのは知識として持っていたので、この問題を解決できるんじゃないかと。
スタートアップの「サンシキ」は、カギケノリを天然資源に頼らず安定供給させるべく、高知大学と共同で陸上養殖を開始。
有効成分を増やしつつ、コストを削減させながら量産することを目指しています。
そして、乾燥させたカギケノリを粉末状にし、飼料に混ぜるサプリメントを開発中です。
高知大学では、カギケノリのメタン抑制効果を検証する実験も重ねて行われています。
飼料とカギケノリを入れた試験管に、実際の牛の胃汁・人工唾液を加え、振動させること12時間。
そこで発生したガスのうちメタンの量を測定します。
カギケノリを加えたものを加えていないものと比較すると、グラフの山が小さいことが分かります。
高知大学研究生・亀岡直生さんによると、「カギケノリを加えていないものと比べると、8割くらいはメタンの量が削減されていることがわかる」といいます。
カギケノリは地球に優しいだけでなく、畜産農家にもうれしいメリットも。
メタン生成に使われていた分のエネルギーを牛の体重を増やす方に回せるため、飼料のコストを下げることができるといいます。
サンシキ・久保田遼代表:
カギケノリが国内で販売できる状態ではないので、効果・安全性を証明し販売できる状態にするのが第1ステップ。カーボンクレジットだったり、そうやって育てた牛肉や牛乳をブランドとして認められて、より利益を出せる状態にしていくことが大事。
現在、国内では牛の飼料にカギケノリを混ぜて与える実証実験がスタート。
有効性や安全性を検証し、数年内の商品化を目指します。