04年アテネから正式競技となったブラインドサッカー。しかし、採用されているのは男子だけで、女子は世界選手権も開催されていない。
長年、注目されてこなかった女子ブラインドサッカー界に現れたニューヒロイン。それが高校1年生の菊島宙選手だ。
 

フィールドの中なら自由に動ける

 
 
この記事の画像(7枚)

「自分が普通のサッカーを辞めたきっかけは、目が見えなくなったからなんです。ブラインドサッカーでは見えて無くてもやれる、フィールドの中なら自由に動けるような感覚がして、それが一番楽しいです」

菊島宙選手は、サッカー指導者の父・充さんの影響で、小学2年の時にサッカーを始めた。健常者と共にプレーを続けていたが、徐々に目の障がいが悪化。悩んだ末に中学1年でブラインドサッカーへと転向した。

 
 

充さんは「『自分はサッカーを本当にやりたい』と言ったことがあったので、やりたいことはやらせたいと言うのが第一でした。目が見えない状態でサッカーのプレーが出来たら、“最強”じゃないですか」と、娘がブラインドサッカーを始めた頃を振り返る。

現在、宙選手は大人に混じって、ブラインドサッカーチーム『埼玉T.Wings』でエースとして大活躍中だ。
 

“天才”少女となった宙選手

 
 

ブラインドサッカーでは試合中、アイマスクで完全に光を遮断するが、視界を全てふさがれてもサッカー時代に培ったテクニックは健在だ。周りの男子選手をドリブルで軽々と抜き去る姿に、周囲は口々に“天才”と呼ぶ。

事実、宙選手は2017年5月の女子初の国際大会でも得点王に輝き、日本を優勝に導いた。

 
 

さらに2018年6月から7月にかけて行われた、第17回ブラインドサッカー日本選手権では、チームは惜しくも3位となったが、宙選手は12ゴールを挙げ最多得点を記録。

そんな彼女の夢は、まだ女子には扉が開かれていないパラリンピック出場だ。
 

女子ブラインドサッカーの扉を開く

 
 

「サッカーを始めさせてくれて、今はサッカーじゃなくてブラインドサッカーの道に進んじゃったけど、パラリンピックにもし出られることになったら、そこで活躍している自分を見てほしいので頑張ります」と父に宣言した宙選手。

現在ブラインドサッカーで、パラリンピックに出場できるのは男子のみだ。しかし、女子でもできると声を上げたいという。

「今は成績をあげて、女子だけのものを作ってもらうか、男女混合でやってもらうか…。女の子でもできるんだというところを見せて、上の人に伝えたいなっていう思いがあります」

自身の活躍で女子ブラインドサッカーの扉を開きたい。

何も見えない状態でも“サッカーのプレー”ができると父が太鼓判を押す16歳が、一直線に夢へと突き進む。
 

菊島宙(キクシマ・ソラ)

 
 

2002年5月23日生まれ 16歳 東京都青梅市出身。
埼玉T.Wings所属 先天性の視覚障がい。
17年5月に開催された女子初の国際大会「IBSA女子ブラインドサッカートーナメント」で日本代表に選出され、日本の全6得点を挙げる活躍で優勝に導いた。

(PARA☆DO!:毎週水曜夜10時54分放送
 https://www.fujitv.co.jp/sports/parado/