「恐ろしい独裁者」というイメージが強い金正恩委員長。
実は最近、ジョークを連発している。
4月1日、チョー・ヨンピルさんやRed Velvetなどの韓流スターが、平壌に行って南北友好のコンサート「春が来る」を開催。
コンサートを鑑賞した金委員長はご満悦の様子で、韓流スターを前に、こんな話をしたそう。
韓流スターの前では渾身のボケが不発に…
「こういうコンサートは度々やらなければいけない。
今回は「春が来る」だったので、今度は「秋が来た」をソウルでやりましょうと、文在寅大統領に伝えてください。
金正恩委員長にも伝えておきます。」
自分で自分に報告するという「ボケ」。
残念ながら「よろしくお願いします…って本人でしょ!」とノリ突っ込みをする、勇気ある韓流スターはいなかった。
むしろ、「この人何て言ったの?どういう意味?」という困惑だけが広がったようだ。
渾身のボケが不発に終わった金委員長。
しかし、そんな金委員長のジョークが、爆笑を取った事があった。
金委員長の「ブラックジョーク」に韓国特使は“大笑い”
今年3月5日に、平壌を訪問していた韓国側の特使をもてなす晩餐会の席。
金委員長はこんなジョークを飛ばした。
特使との会談で、ミサイル発射実験の凍結を約束した事を受けて
「私たちがミサイルを発射するたびに文在寅大統領は夜明け頃に会議を開催する事になる、ご苦労様でした。
きょう決心したので、 これ以上、文大統領が寝不足にならなくて大丈夫です。」
また、南北首脳のホットライン開設が決まった事を受けて
「これからは私の部下たちが傍若無人に振る舞っても、文大統領と私が直通電話で話せるので、簡単に解決できます。」
いずれも、世界中で金委員長しか言えない「ブラックジョーク」。
その場にいた韓国側の特使は大笑いしたそうだ。
南北・米朝首脳会談を前にイメージ戦略か
どうして金委員長は、こうしたジョークを連発し始めたのでだろうか?
金委員長はまもなく、南北首脳会談と米朝首脳会談という、今後の北朝鮮の命運を決める重要な会談に臨む事になる。
「恐ろしい独裁者」「どんな性格か分からない謎の人物」というイメージでは、交渉の相手方から、「信頼できない」と見なされる。
「時には小粋なジョークも飛ばす、話の分かる男」というイメージに改善する事で、会談を少しでも有利に進めようとの思惑があるのかもしれない。
一方、先月行われた中朝首脳会談の際、金委員長は李雪主夫人を中国に帯同させた。
北朝鮮ではこれまで無かった事だが、首脳会談に配偶者を帯同させるのは、世界的に見てスタンダードだ。
つまり北朝鮮は「私たちは普通ですよ」とアピールしていると言える。
「謎の独裁国家」「閉鎖国家」なら、外交交渉の相手になりえないが、「普通」というイメージに変われば、制裁緩和の突破口が開けるかもしれない…
突然連発し始めたジョークも、夫人を外遊に帯同させた事も、し烈な国際政治の場で生き残るための、イメージ戦略の一環とも言える。
4月27日に開催される南北首脳会談では、金委員長からどんなジョークが飛び出すのか、気になるところだ。