きょう8月1日から、東京都内の銭湯の料金が大人520円から550円に値上げされる。
銭湯の料金は昭和21年に公布された物価統制令に基づき、都道府県知事が入浴料金の最高限度額を指定することになっている。東京都は、都内の銭湯の入浴料金の上限額について、8月1日から大人520円を550円に引き上げた。中人(6歳以上12歳未満)200円と、小人(6歳未満)100円は据え置かれた。入浴料の値上げは4年連続となる。
東京都公衆浴場対策協議会での議論では、厳しい物価高騰を受けて、入浴料を一気に600円まで値上げしてはどうかとの意見も出された。しかし客離れを危惧する声もあり、釣り銭が煩わしくない、きりの良い数字ということもあり、30円値上げの550円に落ち着いた。
SNSには、「気軽に行けなくなるねぇ」「泣きたい泣きたい泣きたい」「少し前まで500円だったのに」と嘆く声もある一方で、「値上げは致し方ないと思います」「550円で1時間〜2時間楽しめるって考えるとまだ安いくらい」など理解を示す声も多く寄せられた。
東京都浴場組合のホームページによると、東京の銭湯の入浴料は1948年には大人6円と、現在の90分の1程だった。
入浴料の値上げの歴史を振り返ってみると、その時々の日本経済を色濃く反映している事が分かる。
銭湯の利用者も多かったであろう戦後の高度成長期には、1~3年に1度ほどの頻度で1円から5円ほどと少しずつ値上がりしている。
1970年代に入ると、1年ごとに値上がりし、1975年には100円を突破。日本経済を高く評価した社会学者エズラ・ヴォーゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が出版された1979年には、1年間に2回値上げするなど、急激な経済成長と物価の上昇がうかがえる。
バブル経済に突入した1980年代にも毎年のように入浴料金は上がり、1980年には195円だったが、バブルが崩壊し始める1991年には320円にまで上がっていた。
しかしバブルが崩壊すると、入浴料金の値上げペースも急激に下がる。特に2000年代に入ると、デフレの影響か2000年~2006年、2008年~2014年には6年もの間、入浴料金が据え置かれた。
今回の4年連続値上げは円安や燃料費などの高騰が原因だが、デフレ脱却を象徴する数字と後に評価される事になるのだろうか。
【東京の銭湯の入力料金の推移(大人料金)】
1948年3月 6円
1948年8月 10円
1951年10月 12円
1953年2月 15円
1957年11月 16円
1960年7月 17円
1962年1月 19円
1963年9月 23円
1965年6月 28円
1967年12月 32円
1969年3月 35円
1970年5月 38円
1971年5月 40円
1972年5月 48円
1973年6月 55円
1974年5月 75円
1975年5月 100円
1976年5月 120円
1977年5月 140円
1978年5月 155円
1979年5月 170円
1979年12月 180円
1980年5月 195円
1981年5月 220円
1982年5月 230円
1983年5月 240円
1984年5月 250円
1985年5月 260円
1987年5月 270円
1988年5月 280円
1989年5月 295円
1990年5月 310円
1991年5月 320円
1992年5月 330円
1993年5月 340円
1994年5月 350円
1995年5月 360円
1996年5月 370円
1997年6月 385円
2000年5月 400円
2006年6月 430円
2008年6月 450円
2014年7月 460円
2019年10月 470円
2021年8月 480円
2022年7月 500円
2023年7月 520円
2024年8月 550円