無罪になる?どんな犯罪も対象? 55万人に“恩赦”その内容

カテゴリ:国内

  • 「即位礼正殿の儀」に合わせ、約55万人を恩赦に
  • 恩赦には「大赦」「特赦」「減刑」「刑の執行の免除」「復権」の5種類
  • 今回の恩赦は極めて限定的

恩赦ってなに?

天皇陛下の即位に伴い来週22日に行われる「即位礼正殿の儀」に合わせ、政府は、およそ55万人を対象に恩赦を実施することを閣議決定した。

恩赦とは、天皇陛下の結婚や即位など、国の慶事に合わせ、政府が、罪を犯した人に対して、その刑を軽くしたり消滅させたりして社会復帰を促進しようとする制度のこと。

18日、55万人の恩赦が閣議決定された

凶悪犯が釈放されるワケではない

恩赦には、「政令恩赦」「個別恩赦」の2種類がある。

「政令恩赦」は、政令で罪や刑の種類などの基準を決めて一律に行われるもので、起訴や有罪判決ができなくなったり、有罪判決が無効になる「大赦」、刑が軽くなったり、刑期が短くなる「減刑」、有罪判決によって生じた資格の制限を取り除く「復権」の3種類がある。

法務省

「個別恩赦」は、日頃から行われている「常時恩赦」と、期間を限って行われる「特別基準恩赦」に分かれていて、いずれも有罪が確定した特定の人に対して恩赦を行うかどうか個別の審査で判断して恩赦の実施を決定する。
個別恩赦には、有罪判決が無効になる「特赦」、「減刑」、刑罰を受ける必要がなくなる「刑の執行の免除」、「復権」の4種類がある。

今回は「政令恩赦」と「特別基準恩赦」

来週行われるのは、このうち「政令恩赦」と「特別基準恩赦」。

今回の政令恩赦の対象は、「罰金刑」のみとした上で、罰金の納付が完了した人のうち、その後の3年間に再び処罰されていない人を対象に「復権」に限定して行われる。

例えば、道路交通法違反を何度も繰り返して免許停止となった人が罰金を納めてから3年経過し、再び処罰されていなければ、
再び免許を取り直すことが可能
となったり、医師免許を取り上げられた人が再び国家試験を受けられるようになる上、公職選挙法違反で処罰された人が、失った公民権を回復することができる。

公民権については、直近の衆参の選挙や統一地方選が含まれず、およそ430人となる見通し。全体の対象のおよそ8割は、スピード違反や酒気帯び運転などの交通事犯ということだ。

また、特別基準恩赦では、政令恩赦の対象から漏れた人、つまり、罰金刑を受け終わってから3年が経っていない人について「復権」を行うかどうか個別に審査するほか、病気などの理由で長期間刑の執行が停止状態にある人の「刑の執行の免除」を可能にする。
こちらは、罰金刑だけでなく「懲役刑」や「禁固刑」など重大な罪を犯した人も含まれるが、植物状態などで治る見込みが極めて低い人などが対象となっている。

「国民感情に配慮」 範囲を限定的に

2つの恩赦の規模は、あわせて55万人程度が見込まれているが、罰金刑など比較的軽い罪に限定して行われる上、「大赦」や「特赦」、「減刑」は含まれておらず、今回の恩赦によって、殺人などの重大な罪を犯して服役中の人が、罪を許されて釈放されるわけではない。

平成以降行われた3度の恩赦にはいずれも「大赦」や「特赦」が含まれており、今回の恩赦は、対象の範囲がかなり限定的になっている。

その理由について、法務省は「国民感情や犯罪被害者、その遺族の心情等に配慮し、重大な罪を犯した者を対象外として受刑者が刑務所から釈放されないようにする必要がある」とした上で「刑を終えた者のうち、比較的刑事責任が軽く、一定期間再び処罰されていない者を対象とするなど、従来よりも範囲を限定的にした」と説明している。

(執筆:フジテレビ社会部司法担当 佐藤成美)

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