2023年5月、日本中がびっくりしたこのニュースを、皆さんは覚えているだろうか?

5月、長年飲食店を経営していた男性が2億8000万円相当の金の延べ板などを、地元の大阪府箕面市に寄付した。その、金の延べ板は今どうなったのか。取材すると、箕面市が12月、さらに高い金額で売却していたことが分かった。気になるその使い道は?

■飲食店経営の男性が金の延べ板など30キロを箕面市に寄付

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‐Q:改めて伺いますが、寄付に後悔はありませんか?
中嶋夏男さん(87):後悔はないですよ。私は元気なうちに寄付できたなと思って、自分でも良かったなと思ってます。

こう話すのは、箕面市で34年間、飲食店を経営していた中嶋夏男さんだ。中嶋さんが、一躍注目の的となったのは…

中嶋夏男さん(2023年6月):箕面市で商いさせてもらって、だからそれを箕面市に返そうと思って。

 2023年5月、当時の価格で2億8000万円相当の金の延べ板などを箕面市に寄付した。

中嶋夏男さん (2023年6月):40年、50年前に買ったもの(金)がね、今、結局10倍くらいになってますわね。(‐Q.当時いくらで買った?)3000万円ぐらいちがいます?

 地元への恩返しのために、これほどの額をぱーっと手放せる器の大きさに、日本中が驚かされた。

‐Q:会見後、周辺で変わったことは?
中嶋夏男さん:買い物に行ってね、顔をのぞく人はいたな。

‐Q:『あの人だ』みたいな?
中嶋夏男さん:そういうことやな。『中嶋さんとちゃいますか?』ってそういうことはあったね。

■寄付された「金」はさらに価値を上げて売却されていた

あれから半年、寄付された金の延べ板はどうなったのかというと、実は12月13日、箕面市は金の延べ板など30キロを入札で決まった大阪市の金・宝石の業者に売却しただ。

金の売却に立ち会った箕面市の担当者は…

箕面市地域創造部 箕面営業室 辻紗織室長:(当日は)何かあってはいけないので、職員の身とか、(業者に)お渡しするまで何か取られてはいけないなど、そこが一番気を付けていましたので。まずは金の受け渡しをするっていうところに集中していたというのが実情ですね。

 買い取り業者から提示されたのは“約3億円”。金価格の高騰によって半年前からさらに2000万円も価値が上がっていた。

中嶋夏男さん:いや~、私、よかったと思うよ。上手にそこまで持ちこたえた。いい時に売っていただいたと私は思ってます。

気になるのは、箕面市が手にした3億円の使い道だ。

中嶋夏男さん:みんな大概、救急車に世話になりますやん。だから私は救急車がいいんじゃないかと。

 箕面市地域創造部 箕面営業室 辻紗織室長:寄付者様のご意向としましては、高規格救急車であるとか、救急資材に使ってほしいということと、あとは地域活性・観光振興に資する何かに活用してほしいというご意向がございます。

 真っ先に候補にあがったのが「救急車」だ。

箕面市消防本部 救急救命士 平井夏海さん:これが高規格救急車になります。

箕面市消防本部は合わせて7台の救急車を所有しているが…

消防のアナウンス:箕面消防から各局。救急指令18号車。

市民の高齢化などで去年の出動回数は9374回と過去最多を記録。今年はさらにそれを上回る出動回数だという。

そこで救命処置を実施する最新の医療器材を搭載し、十分なスペースが確保できる高規格救急車を導入したかったのだが、車両本体だけで約2300万円。その他にも約310万円の自動心臓マッサージ器や約800万円の無線機など必要な機材を含めると…

箕面市消防本部 中井修二消防企画室長:全て込みで4000万円ぐらいかかります。(‐Q:本来なら税金で買うもの?)そうですね。それを寄付していただけるということは非常にありがたい。ホンマにありがたいです。顔に笑顔が出るくらい喜びました。ありがとうございます。

 中嶋さんから箕面市への恩返し。箕面市も観光振興や市民サービスで還元したいとしている。

■「あとは生きるためのお金しかおいてない」

‐Q:これからも寄付しますか?
中嶋夏男さん:そんなお金あらへんやん。あとは生きるためのお金しか置いてない。やりきったと思うよ。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月28日放送)

関西テレビ
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