白や黒、茶トラや三毛など、猫の毛柄はなぜここまで個性豊かなのでしょう。それぞれの模様は偶然の産物かもしれませんが、色の発現は遺伝子の複雑な組み合わせで決まるようです。

猫の毛柄のヒミツや性格の違いなどについて、猫の生態に詳しい富田園子さんに5回にわたる連載で教えてもらいました。

オレンジ毛を作る遺伝子O(オー)の存在

洋の東西を問わず人気の三毛柄。

三毛猫は基本的にメスで、オスの三毛猫はとっても珍しいという話は聞いたことがある人も多いと思います。

しかしその理由は知っていますか?

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)
この記事の画像(8枚)

三毛猫に必要な「茶トラ」のオレンジを作る遺伝子O(Orangeの略)は、性染色体Xにしか存在しないからです。

前回の記事で、白猫になる遺伝子W(Whiteの略)は他のすべての毛色遺伝子より強いというお話をしましたが、茶トラの遺伝子Oはその次に強い遺伝子です。

(参照:「一緒に生まれたきょうだいなのに毛柄が違うのはなぜ?白猫の両親から黒猫も…遺伝子の不思議と猫のスゴ技」

そのため、WがなくOを持つ猫は茶トラになります。ほかに黒になる遺伝子B(Blackの略)を持っていたとしても、Oの方が強いのでBを抑え込んで茶トラになります。

でも実際、三毛猫は茶トラと黒を同時に持っていますよね。これが、メスという性の神秘なのです。